少子高齢化による人手不足に頭を抱える地域と、働きながら地域の魅力を深く知る旅をしたい人のマッチングサービス「おてつたび」が今大きく注目されています。「おてつたび」を通して旅人の受け入れを続けている富山県の温泉旅館「小川温泉元湯ホテルおがわ」の松原綾子(まつばら・あやこ)さんは、人手不足解消だけにとどまらない効果があったと話します。地域事業者にとってのメリットについて松原さんにお話を伺いました(全3回中の1回目)。
10代から60代の旅人の「記念日」に利用される宿の大事な仕事
── 「小川温泉元湯ホテルおがわ」がある地域の特徴と、お仕事内容について教えていただけますか。
松原さん:
ホテルおがわは富山県の東の端にありまして、標高250メートルの山の中にある一軒宿です。開湯400年を迎えた源泉かけ流しの温泉となっており、天然の洞窟の露天風呂が魅力のひとつの宿になっています。また、「記念日の宿」というコンセプトで、お客様に感動を届けるおもてなしを大切にしています。
宿から車で15分ほどで行ける海には、波打ち際に翡翠が打ち上げられると言われており、おてつたびで来られる旅人のみなさんも翡翠探しをとても楽しんでいらっしゃいます。
── 「おてつたび」を通して旅人にお願いしている仕事内容について教えてください。
松原さん:
今まで10代から60代のおてつたびの皆さんにいらしていただいているのですが、みなさんには主にお客さまへの夕食や朝食のお食事出しと接客をお願いしています。
食事のセッティングから、いらっしゃるお客様のお出迎え、お食事出し、あと片づけまで一連の流れをお願いしています。
おてつたびの最終日までには、個室のお食事会場を一人で担当できるようになることを目標にお仕事内容を教えています。皆さん本当によく頑張ってくださっています。
── 最終日までに、とのことですが、おてつたびの利用者はどれくらいの期間滞在されるのでしょうか。
松原さん:
そうですね、うちの場合は、短い方ですと4日ほど、長い方ですと10日ほどになるかと思います。
4日間という短い期間の方にも、やはりこの期間に「達成感を味わっていただきたい」「ここでのおてつたびを良い思い出にしていただきたい」という想いがあり、最終日にはお食事会場をお任せできるようにスタッフ一同全力でサポートしています。