みんなの力を合わせて綺麗な海に
── そんなに多くの人が集まったんですね。人魚のパワーはすごいですね!
ももさん:
人魚のパワーというよりも、地域の方々みんなのパワーですね。地域の団結力があり、報連相が行き届きやすい環境であることも恵まれていると感じます。
でも、多くの人が集まってくれたのは嬉しかったですね。人魚にパワーを与えてくれました(笑)。
せっかく恵まれた環境があるので、これを不定期イベントではなく、いつでもゴミ拾いができるような状況にしたいと思いました。
そこでひらめいたのが、与論島の海岸で2017年から、設置されている「拾い箱」でした。海で拾ったゴミを分別して捨てることのできるゴミ箱で、これがあればゴミ拾いイベントの日だけでなくても、誰でも日常的に海岸で拾ったゴミを捨てられるようになるのです。
── 「拾い箱」とは、素敵な取り組みですね。
ももさん:
そうなんです。そこで、海洋ゴミへ関心を持ち、行動を起こす活動「CHANGE FOR THE BLUE 鹿児島実行委員会」を立ち上げている南日本放送(MBC)とご縁があったので、問い合わせてみたんです。
そして、海洋ゴミ対策事業「海と日本のプロジェクト CHANGE FOR THE BLUE」の協力の元、いちき串木野市の海岸にも拾い箱2つが2022年5月から設置され、南日本放送(MBC)でその様子が放送されました。
拾い箱の名前は「Voyager’s Port」。「海を漂ったゴミ」を「航海者」にたとえて、それがたどりつく最終目的地=港(Port)が、拾い箱となってほしいという想いから名付けました。
── 実際に運用が始まってみてどうですか?
ももさん:
ありがたいことに、海岸を訪れたたくさんの方が協力してくださっています。拾い箱の設置については、他の海岸からも要望があるようです。市役所の方も協力してくれていますので、今後に期待ですね。
ただ、次の課題も見えてきました。現状、集まったゴミを私たちがボランティアで回収しています。回収されたゴミは本当であれば、一般のゴミ回収ルートに組みこんでもらえるといいのですが、現状では、業者に依頼するために必要な市の予算は割り当てられていません。
今後、どれくらいの量のゴミが集まり、どれくらいの頻度で回収が必要か集計、把握して、一般のゴミ回収ルートに組みこんでもらえるように働きかけていこうと思っています。
── 夏に海へ行ったら今まで以上にゴミに意識を向けてみようと思います。
ももさん:
ぜひそうしてください。大切なのは楽しみながら続けることですから、一人ひとりが海を楽しむのと同じくらいゴミ拾いも楽しんでほしいですね。
私も未来にキレイな海を残すために、海のアンバサダーである人魚としてこれからも楽しみながら活動を続けていこうと思っています。
取材・文/酒井明子 写真提供/マーメイドパフォーマーももさん