中学受験がうまくいく家庭は、ちゃんと寝て食べる

そのためにも、親御さんの働きかけはとても大事です。まずは毎日「今日はここまでにしようね」と言えるようにしてください。受験勉強はやろうと思えばいくらでもやれることがありますので、すべてを網羅するのは不可能だということを親御さんにも心得ていただきたいと思います。

 

とくに頑張りたいタイプのお子さんは「手をつけていない問題が出たら怖いから、もう少しやりたい」と粘ろうとします。ご相談者様のお子さんも、志望校にギリギリ合格できるかどうかという状況とのことなので、頑張りすぎないよう注意が必要です。

 

「今日はこれだけ解けるようになっているのだからもう十分。100点を狙う必要はなく、身につけた力を堂々と発揮できればいい。さあ寝ましょう」と親御さんが“店じまい”をうながし、毎日の納得を重ねていけるようにしてあげください。

ちなみに、有意義な受験をやりきった親子は、毎日睡眠を十分に取ってご飯もちゃんと食べています。そういったご家庭のお子さんは、入試当日も平常モードで挑むことができ、うまくいくことが多いと感じます。

 

では、どのように勉強と健康的な生活を両立していくか。多くの場合、朝型派と夜型派に分かれますが、いずれも7~8時間は睡眠を確保していますね。

 

たとえば、朝学習を30分~1時間コンスタントにやって、夜10時半や11時には寝る。あるいは、夜11時過ぎまで勉強して、朝はギリギリまで寝て学校に行く。夜型派のなかには、塾から帰って少し仮眠を取るなど休憩の入れ方を工夫している子や、間食をうまく取って満腹や空腹になりすぎないようにしている子もいます。

 

いずれにせよ、勉強に取り組んで伸びる子の親御さんは、お子さんの体質やリズムをよく把握しています。隙間時間でも勉強できる子なのか、集中して取り組む子なのか、睡眠を取らないとダメな子なのかなど。そのうえで毎日の生活を設計されています。

 

ご相談者様もぜひ、お子さんの体質やリズムを前提に、健康管理をサポートしてあげてください。

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。
取材・構成/佐藤ちひろ