子どもは、日々の経験や学びを通じて「なぜ?」「どうして?」とさまざまな疑問を抱きますが、その内容も成長と共に変化していきます。今回の相談者は、お子さんの哲学的な問いに戸惑っているとのこと。教育家・見守る子育て研究所所長(R)の小川大介先生が、アドバイスします。
【Q】なぜ勉強をしなくてはいけないのか?
中学受験をしている小学5年の息子が、思春期を迎えつつあるのか、勉強へのストレスなのか、「人間はいつか死ぬのに、なぜ勉強をしなくてはいけないのか?」と言い始めました。「死」や「宇宙」など、未知のものへの恐怖心も芽生えてきたらしく、「人はなぜ…?」という哲学的な質問を投げかけてきます。私もそんな頃があったなあとは思うので、共感はするのですが、正直、どう返事をしたら良いのか返答に困ります。
哲学的な問いは「学びのセンスと考える力」がある証
お子さんの質問は、とてもよい問いですね。なぜこうした問いが生まれてきたかというと、決して勉強のストレスではありません。小学5年生は脳の成長期にあり、お子さんも抽象的な思考ができるようなったから哲学的な問いが出てきたのです。
「今日の勉強が、年齢を重ねたときにどういうふうにつながっていくの?」とふと疑問がわいたのだと思いますが、そこから死まで突き詰めて思考を巡らすことができており、考える力のある子に育っていらっしゃると思いました。
また、「死」や「宇宙」に恐怖心や関心が芽生えるのも、成長過程によくあることです。死後の世界はわからないですし、宇宙もだいぶ研究が進んではいるものの答えがない領域ですよね。そういったよくわからないものに対して不安感を覚えるのは当然のことです。
とくに強い関心を示す子は、わかりたいという欲求が強いのです。つまり、学びのセンスがよいということ。ご相談者様には、そのすごさに気づいていただき、お子さんを褒めてあげてほしいなと思います。