障がい者施設訪問して観客とハイタッチするメイミさん。直接触れ合うことで、心の距離を縮めながら芸を披露(コロナ前)

高齢化が進む日本では、老いや介護は誰もが直面するテーマです。ときには、悩みや苦しみをひとりで抱え込む高齢者も。介護職として働いた経験を活かし、高齢者施設訪問を続ける介護福祉芸人のメイミさんが、笑いを通して目指すものとは?(全2回中の2回)

笑いは高齢者と交流できる手段でしかない

介護福祉芸人・漫談家として高齢者施設や寄席などの舞台を渡り歩くメイミさん。ホリプロから独立し、高齢者にウケる笑いを研究するために介護職へ。

 

デイサービス施設で働きながら、高齢者が日常から不便だと感じていることや老いに対して抱く悩みを知り、高齢者たちを元気にする笑いと交流を実践したいと考えました。

 

「私たち芸人が一方的に『笑わせる』のではなく、笑いを通して観ている人とコミュニケーションしたい。舞台と客席という枠をとりはらって交流し、一緒に楽しめる場にするのが理想です」

 

心がけているのは、「誰も傷つけず、元気になれる笑い」。かつてのメイミさんの持ち味、シュールな芸風とは大きく異なります。

 

高齢者向けの笑いの注意点は、ふだん接するときのコミュニケーションと変わりません。

 

(1)大きな声でゆっくりはっきり、相手のペースにあわせて話す。オチの部分は2回繰り返す意気込みで

(2)健全でポジティブな内容で話す。死、下ネタ、悪口は禁止

(3)話すテーマを過度に高齢者に寄せすぎない(例えば、病気、戦争体験を扱うネタなど)

(4)縁起が良い、頭の体操になる、機嫌がよくなる、などお得感を与える

 

しかし、施設への訪問経験が浅い若手芸人にはこれらの心がけが難しいときもあり、メイミさんや先輩芸人が丁寧にアドバイスします。