仲間や家族とともに活動範囲を広げる

高齢者施設を訪れて芸を披露していたメイミさんには、徐々に仲間が増えて、6人ほどでグループを結成。

 

その後、NPO法人『笑顔工場』を設立すると、新聞で取り上げられたことで、障がい者施設訪問や支援者・一般向けの講演へと活動の幅が広がりました。

 

「現場によって雰囲気は違いますが、高齢者も知的障がい者の方も、演者と交流したい気持ちが伝わってきます」

 

メイミさんの芸は客席と交流しながらの、体を張った早変わりやアクロバット、手遊び・脳トレ、漫談、ダンス、かけあいを中心に構成されています。

 

早変わりでは、応援コールを客席にお願いして、黒のスーツ姿からピンクのメイド姿に一瞬で変身、客席が一気に盛り上がります。

 

「施設訪問では早変わりをプログラムの最初に入れます。40歳を超えていつまで早変わりを続けるべきか迷いますが、笑っていただけるうちはずっと続けたいです」

 

ご主人や実家もメイミさんの活動を応援しています。

 

出産直前まで自治体の子育てに関する意見交換会に出席するなど精力的に活動を続け、産後は子連れで泊まりの現場にも行きました。これは周囲の理解と協力があってこそ。

 

「芸ができることのありがたさ、当たり前の日常の愛おしさ、助け合える心地よさなど、子どもが生まれて改めて気づくことはたくさんありました。

 

これからも、子どもの成長、親の介護、自身の老いなど、人生のできごとに応じて考え方や芸が変化していくはずです」

 

PROFILE メイミさん

福岡県出身。介護福祉芸人、漫談家(東京演芸協会所属)、介護福祉士。NPO法人笑顔工場理事長。港区登録手話通訳者。シニア向けオンラインコミュニティ「六月の村」中心メンバー。4歳児の母。

取材・文/岡本聡子 写真提供/NPO法人笑顔工場