「ビールの種類によって最適な温度がある」と、くっくショーヘイさん

冷蔵庫でキンキンに冷えた缶ビールを飲む瞬間は、まさに至福のとき。でも、「ちょっと待った!それではもったいない」と話すのが、ビアソムリエのくっくショーヘイさん。ひと工夫で、香りも味わいも最高の1杯になるとか。その秘けつ、教えてもらいましょう!

ラガービールを美味しく飲むコツは氷水!

── よく「キンキンに冷えたビールが最高!」と言いますが、冷えたビールを冷蔵室から取り出してすぐに飲むのがやっぱりいちばん美味しいのでしょうか?

 

くっくさん:
喉ごしを楽しむラガー系のビールは、キンキンに冷やすと美味しさがアップしますよね。

 

でもそれが、すべてのビールに当てはまるかというと、答えは「NO」です。最適な提供温度は、ビールの種類によって変わってきます。

 

最適な提供温度とは、「そのビールの特徴をいちばん味わえる温度」のこと。

 

例えば、ラガービールは香りを楽しむというより喉ごしやシャープな味わいを堪能するビールなので、温度を上げすぎると炭酸が飛びやすくなってしまいます。

 

結果、喉ごしやシャープな味わいは感じられなくなってしまうため、温度は低いほうがよいといわれています。

 

逆にエールやアルコール度数が10%を超えるビールは、ゴクゴクと一気に飲むという感じではなくて、少しずつ口に含みながらその香りや味わいを楽しむという飲み方がぴったり。

 

この場合、温度は高めのほうが香りを楽しみやすいです。香りは温度が高いほうが揮発しやすいんですよ。

 

また、冷たいとその分味覚は鈍ってくるので、温かいほうが甘みやうま味は感じやすい。ビールもワインのような楽しみ方ができるわけです。

 

── ビールの種類に合わせた適温がわかれば、喉ごしだけではなく香りを楽しんだりもできるということですね!でも、ビールの適温と言われても、素人だとなかなかハードルが高い印象です。

 

くっくさん:
あくまでも目安ですが、アルコール度数の±2℃が適温と覚えてください!

 

私たちがよく飲む大手ビール会社のラガービールは、アルコール度数が5%くらいなので、5℃前後が適温です。

 

グラスも注ぐ前に“氷水”で1分ほど満たして冷やしておいてください。冬なら水道水に当てるだけでも十分です。

 

グラスは拭かずに軽く水けを切って、冷蔵庫から取り出したラガービールを注げば、飲み頃の温度のまま味わうことができます。

 

今、流行りのホップを大量に使用して作られるIPAというビールなら、適温は7~10℃とやや高めです。

 

冷蔵室から取り出したビールを常温のグラスに注ぎ、一呼吸おくとこの程度の温度に上がっていきますよ。

 

── 家でよく飲むラガービールの温度を調整するには、氷水を使うのがベストなんですか?

 

くっくさん:
よく、グラスを冷蔵室や冷凍室に入れて冷やす方もいますが、臭い移りがしたり、グラスが冷えすぎたりする要因になるので避けましょう。

 

グラスを程よく冷やすなら断然、氷水をおすすめします。

 

淡色ラガーや発泡酒、新ジャンルのビールを飲むときは、氷水をグラスいっぱいに満たして1分程度待つと、表面が水滴で曇るくらいしっかりとグラスを冷やせますよ。

 

あと、ビールをグラスに注ぐときって、ビールに負荷がかかるんですよね。

 

グラスの表面はツルツルな感じがしますが、ビールが注がれたとき、摩擦によって炭酸が飛びます。その摩擦をなるべくなくす上でも、グラスを1回濡らしてあげるとよいです。