『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』(公開中)にキジブラザー/雉野つよし役で出演中の鈴木浩文さん。スーパー戦隊シリーズの歴史で初めて、男性キャストがレギュラーでピンクの戦士を演じること、そして演じる鈴木さん自身のキャリアも話題になりました。
役へのプレッシャーはいつもと同じ
── ピンクの戦士を演じると決まったとき、どのように感じましたか?
鈴木さん:
僕が観てきた「スーパー戦隊シリーズ」ではピンクは女性が演じていましたが、最近は、男性も演じるのか、という感想でした。「先生役です」「八百屋さんの役です」と同じような感覚で「ピンク色のヒーロー役です」と受け止めたというのが、正直なところです。
スーパー戦隊シリーズで初の試みだったので、注目度は高かったけれど、僕のなかでは「役を演じること」へのプレッシャーはいつもと変わりませんでした。銀行員時代にもピンク色のネクタイをしている男性もたくさんいたので、色そのものにも抵抗はなかったです。
── ピンクのシャツとネクタイ、今日も似合っています!
鈴木さん:
「ドンブラザーズ」のおかげで、自分が意外とピンクが似合うと分かりました(笑)。
洋服に関していうと、僕のレパートリーにはない色で、気分転換にピンクのアイテムを取り入れることはあっても、ベースの色として選ぶことはありませんでした。
今では、ピンクがグッと身近になったし、好きな色の一つになりました。応援してくれる方たちから、洋服、バッグやポーチ、帽子などをいただくことも多く、ピンク大好き人間のようなファッションになる日が増えました。
社会人になってみて「自分が人生に求めるものに気づいた」
── 銀行員から俳優の道へ。どのようなきっかけがあったのでしょうか?
鈴木さん:
大学で就活をしたタイミングでは、特にやりたいこともなくて、受かったところに就職すればいい、くらいの感覚でした。
銀行員になりたくて銀行に入ったというわけではありません。実際に働いてみると、何か合わない感覚があって。2年ほど働いたときに、ふと「このまま働き続けたら後悔しそう」という思いがよぎり、楽しいことをやりたいと考えるようになりました。
人生で自分が楽しいと思ったことを振り返ったとき、高校の文化祭で、みんなで劇を作ったことを思い出しました。小説も好きだったので、小説も書いてみたいと思い立ち、俳優の養成所に願書を送り、小説を1本書いてコンテストに応募して、先に結果が出たほうを1回やってみよう、と決めました。
先に返事が来た養成所に通うことになり今に至りますが、銀行を辞めたのを後悔したことは一度もないので、自分にとっては良い選択だったと思っています。
── 「楽しさ」を求めての転身だったのですね。
鈴木さん:
社会人として働いてみてから分かったのは、自分が人生に何を求めているのか、ということ。
毎日たくさんの時間を捧げる場所は、楽しいと感じないと続かない気がしました。元々あまり数字が得意でなかったため、技術的にも覚えなきゃならないことが多かったので、とにかく大変でした。そこをクリアすれば、楽しくなることもあったのかもしれません。
お給料はとてもよかったけれど、僕自身は楽しさや潤いを感じられなかったので、やっぱり合ってなかったのだと思います。