タブレットを見て親子でお金のことを話している様子

世の中が変化するなかで、「我が子にもお金の勉強をさせたい」と思う親が増えています。親はどのようなことを知っておかなくてはいけないのでしょうか。金融教育ベンチャー企業を経営する経済アナリストの森永康平さんが解説します。

日本人のマネーリテラシーはこの6年で悪化

子どもが将来お金に困らないように、詐欺から自分の身を守ったり、資産運用できるようにしてあげたいと思うのは、親であれば誰もが思うことかもしれません。

 

しかし、何をもってお金の知識がついていると確認すればよいのでしょうか。そのひとつに金融リテラシーという考え方があります。

 

金融リテラシーとは「金融に関する健全な意思決定を行い、究極的には金融面での個人の良い暮らし(well-being)を達成するために必要な、金融に関する意識、知識、技術、態度及び行動の総体」と定義されています。

 

金融広報中央委員会が3年ごとに公表している「金融リテラシー調査」では、「金融知識・判断力」に関する正誤問題を25問設けていて、これらの正答率が高いと金融リテラシーが高いとされます。

 

最新の結果(2022年版)を含めて過去3回分のデータをみてみると、2016年は55.6%、2019年56.6%、2022年55.7%とほぼ横ばいで推移していることが分かります。

 

しかも、年齢層別でみると、年齢が若くなるほど正答率が低くなる傾向が続いているのです。

 

この結果から2つの事実がわかります。1つ目は日本では公教育でほとんどお金の勉強をさせていないこと。

 

2つ目は無知のまま社会経験を積むなかで様々な問題に遭遇し、それらの経験を重ねていくなかで金融リテラシーを向上させているということです。