子どもは学校に行って発言し、ノートもちゃんと取っているようだけど、なぜか学びが定着していない——そんな相談者の悩みに、教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生が答えます。

【Q】授業を聞いていないどころか…

小学4年の男の子を育てています。先日、授業参観を見に行きました。「理科」の授業だったのですが、本人は教科書を見たり、ノートを書いたり、グループで交流して話し合ったりと、一見、普通に過ごしていました。

 

帰宅後、その授業で黒板に先生が書いたことを質問形式にして出してみたところ、息子は全然内容を理解していませんでした。それどころか、「今日って理科の授業、あったっけ?」と。びっくりしました。小学4年の子って、こういうものなのでしょうか?それともうちの子だけでしょうか?

「授業の意味」を知らないだけ、教えればいい

お子さんの視点に立ってみれば難しい問題ではありません。お子さんは、おそらく理科に限らず、各科目を学ぶために授業に参加しているのではなく、お友だちと意見交換する時間を楽しんでいます。

 

「学校は行くもの、授業は始まるもの」という意識なのだと思います。先生の言ったことはやるけれど、何を学び、どれが覚える必要のある知識で、その知識をどう使ったらいいのかという認識を持たずにいるのでしょう。

 

授業中に「わかる」と感じるのと、自分が使える知識・理解として獲得し「できる」のとでは次元が違います。後者のように定着できた「できる」という状態は自分の意思が必要です。おそらくお子さんは、テレビを眺めているのと同じ感覚で授業を受けており、そのことを知らないのです。

ご相談者様は、授業というものは何を学ぶのか意識しながら受けるものであり、わからなかったら調べたり質問したりするものだと思っていらっしゃる。でもお子さんは授業をそのようなものとは受け止めていない。「小学4年生だから」ではなく、親子間で授業に対する認識にズレがあるから今の状態が生じているのです。

 

ならば、教えてあげればいいのです。まずは、「授業は何をする時間だと思ってる?」「先生が教えてくれたことは、自分で説明できるようになって覚えておくことが必要なんだけど知ってる?」と、聞いてあげましょう。

 

お子さんが「そんなこと急に言われても困る」と不快感を示したとしても、叱らないこと。授業の意味を知らなかっただけなのですから、「教えてあげてなくてごめんね」と伝えるところからスタートして教えてあげましょう。

 

そして、教科書を読んで理解できているか、ノートを見返して先生が教えてくれたことを説明できているかどうかを一緒に確かめてあげてください。すると、記憶することの大切さがわかってくるのではないかと思います。

 

小学3~4年生くらいはちょうど学習内容も専門性が高まってくる時期ですので、授業の意味を理解することができれば、学び方を変えていくことはそれほど難しくはないと思います。