好奇心を重視するなら「公教育以外の選択肢」がセット

今、ご相談者さまに限らず、保護者が勉強の技術を教えることなくお子さんの好奇心だけを大事にした結果、中学受験の段階や公立中学に上がってから困るというケースが増えています。しかし、現時点では、海外に行かない限り、こうした子の居場所は日本にはほとんどないのが実情です。

 

海外の学校や国内のインターナショナルスクールなども進路の選択肢に入れているのであれば、問題ありません。しかし、それは保護者が経済的にも、情報収集の面でも、相当がんばらないと難しい道です。公教育という基本路線を選ぶ保護者の何倍ものエネルギーや覚悟がいるのです。

 

もちろんこのような現状が望ましいはずはなく、公教育のありかたも、国の教育支援のありかたも改革しなければならないことは言うまでもありません。しかし、残酷な現実ですが、そうした改革が行われるころには、今現在の子どもたちはもう大人に成長してしまっています。

 

今の日本の教育環境で好奇心の重視を貫くのであれば、日本の公教育以外の選択肢もセットで考えなくてはならないこと、そしてそれはすごく大変であることを理解したうえで子育てをしている保護者が少ないように感じます。

 

子どもの学びにおいて、保護者の責任の範囲が膨らんでいる現状を理解し、親である自分が子どもの好奇心を最優先にさせてあげられるだけの環境を準備していけるのかどうか、今一度真剣に大人が考える必要があるように思います。

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。

取材・構成/佐藤ちひろ