大人が抱えやすいモヤモヤについて、臨床心理士の八木経弥さんにお話を伺いました。今回は、夫が子どもの発達や成績に楽観的で、相談相手になってくれないと悩む女性の悩みにお答えします。
【Q】スマホばかりで私の相談を聞き流す夫
結婚して10年、小学生ふたりの子どもを育てています。夫に不満があります。夫は子どもをかわいがってくれているものの、子どもの発達や成績のことにあまり関心がなく、私がそのような心配事について話しても、スマホを見ていてほとんど聞いていません。
私が心配性なので、夫は楽観的くらいでちょうどいいのかとは思うのですが、相談相手くらいにはなってほしいなと思います。どうやったら相談相手になってくれるでしょうか?
「私=心配性/パパ=楽観的」がいいバランスに?
相談者さんにとって、ご主人はいちばん身近な相談相手でいてほしいでしょうから、モヤっとしちゃいますね。でも、私がすごくいいなと思ったのは、「私が心配性なので、夫は楽観的くらいでちょうどいいのかとは思う」と自覚しているところ。この考え方、素晴らしいですね。
子育てしていると、「パパが子どもに対して私と同じくらい向き合ってくれない!」と不満に思うこともあります。けれど、客観的に捉えると結果的に「バランスが取れている」というケースが実は多々あるんです。相談者さんはそうした状況を俯瞰できているのだと思います。
おじいちゃんおばあちゃんと同居していれば話は別ですが、核家族で夫婦が子育てに対して同じ捉え方をしていると、子どもの逃げ場がなくなることがあります。
たとえばお母さんが叱っているときに、お父さんも同じ勢いで叱るようでは、子どもは心の逃げ場がなくなってしまいます。命に関わるような危険な出来事でもない限り、どちらか片方は叱らずにいることが、子どもにとっては大切です。
また、発達に関してお母さんが「うちの子大丈夫かしら」と心配しているときに、お父さんも同じくらい、またはそれ以上に心配していたら、どんどん不安は募ります。成績も同じです。お父さんが成績に対して神経質で、お母さんも同じように敏感だったら、子どもは息苦しくなってしまいます。
ですから、「わが子の幸せを願う気持ち」が夫婦で一致しているのなら、2人の捉え方が違うくらいのほうが、子どもにはちょうどいいのではないでしょうか。