お米農家に見合った対価を払いたい

── 宣伝部長としては、どんな活動をされるのでしょうか?

 

河本さん:
「準米」から大分・国東の米の美味しさを知ってもらうために、YouTubeやInstagram、Twitterなどに投稿しています。

 

また、少しでも多くの介護施設や児童養護施設へ準米を届けるには、企業をはじめ支援者を募ることも僕の大事な仕事です。

 

支援者の方に準米を購入していただいて、そのお米を施設へ寄付していただくんです。クラウドファンディングを定期的に行い、皆さんからの支援も募っています。

 

── 河本さんからの寄付ではなく?

 

河本さん:
収穫したお米をそのまま施設へ無償で提供していては、いずれ資金が尽きて長続きしません。

 

また、クオリティの高いお米を作ってくださる農家の皆さんに、見合った対価を支払いたい思いもあります。

 

とはいえ、この2年間はコロナの影響もあり、十分に宣伝活動ができていないのが現実ですね。

 

取り扱ってくれていた飲食店がつぶれてしまったことも。昨年の収穫量の約36トンのうち、半分以上がまだはけきれていません。

 

僕は米蔵を持っていないので、長期保管も難しい。だから、購入されなかったお米は自身で買い取り、施設に送っているのが現状です。かなり厳しいですね。

 

── 施設の方々以外でも、「準米」を食べる機会はありますか?

 

河本さん:
オンラインストアで購入していただけます。大分の「ニコマル」や岡山の「キヌムスメ」など、どれも自信作です。

 

とはいえ、お米は日本中で作られて全国どこでも買えてしまうので、やはりオンラインのみの販売だと、なかなかハードルが高いのも現実です。

 

皆さんにどうやって気軽に購入してもらうようになるかっていうのが自分の課題。取り扱ってくれる飲食店も増やせていけたらと思っています。

 

吉本東京本社の社員食堂でも準米が使われているので、実際に食べて、美味しかったとSNSで発信してくれる芸人もいます。

 

そうしてじわじわと皆さんの認知が広がっていくことに感謝しています。

 

僕は芸人なので、みんなを笑顔にするのが仕事です。これからも、笑いと食の両方でみんなを笑顔にしていきたいですね。

 

PROFILE 河本準一さん

1975年、岡山県出身。1994年に井上聡さんと次長課長を結成。お笑い芸人として活躍する一方、介護施設や児童養護施設への訪問、米づくりから多くの人を笑顔にする「準米プロジェクト」、手話の普及や講演など、多くの社会活動も行っている。次長・課長も出演する日本最大級のお笑いフェス『LIVE STAND 22-23』が8月19日から開催。

取材・文/大浦綾子 画像提供/吉本興業