「刑務所の中にファッションブランドを立ち上げよう」と、産官学が連携した日本初のプロジェクト「みとびらプロジェクト」が今、注目を集めています。服の作り手は、社会復帰を目指す受刑者たちです。企業、行政と教育が手を取り合い、何を始めようとしているのか。刑務所のなかにファッションブランドを立ち上げる理由とは。一般社団法人みとびらの理事である山部千明(やまべ・ちあき)さんにお話を伺いました。

刑務所の中のファッションブランド!産官学が連携して進める「みとびら」プロジェクトとは

着物地で作ったトップス

── 一般社団法人みとびらが進める「みとびらプロジェクト」とは、どういったプロジェクトか簡単に教えていただけますでしょうか。

 

山部さん:
みとびらプロジェクトは、「社会復帰を目指す受刑者たちを支援したい」という想いから始動した、産・官・学が連携して進めている日本初のプロジェクトになります。

 

具体的な内容としては、刑務所の中にファッションブランドを立ち上げ、若年女子受刑者に裁縫技術を身につけさせることで社会復帰を支援します。また、若年女子受刑者が縫製などで携わった商品の売上金の一部は、出所後の奨励金になります。

 

産業の部分をアパレル企業、官の部分を法務省矯正局、学の部分を東京藝術大学美術学部のDOOR(※)が担っており、それぞれ三つの立場から力を出し合い、知見を活かして「みんなで困り合おう」という信念のもと進めています。

(※東京藝術大学が進める、「アートと福祉」をテーマに社会人と藝大生が一緒に学ぶ学習プログラム「Diversity on the Arts Project」の略)

みとびらの鞄

── 「みんなで困り合おう」とはどういうことでしょうか。

 

山部さん:
私たちは、目の前にある問題を「人それぞれ」で終わらせずに、みんなで困り合って助け合っていきたいと考えています。それができれば、様々な分断を越えていけると思うんです。

 

不自由な環境にある人たちへの支援と、困難な状況への応援の方法をみんなで困り合って、大切に思い合い、助け合いたい。そんな「みんなで困る」仕組みを社会に届け、扉をひらいていければと考えています。