嫁姑関係に起きた微妙な変化

疲れ知らずだった義母が時折体調不良を訴えるようになって、嫁姑の関係にも微妙な変化が起こりつつあります。

 

元気いっぱいだった頃の義母は、私の持病に理解を示そうとはしてくれつつも、それでもどうしても「もっと頑張ればいいのに」「具合が悪いと思うから余計に悪くなるのでは」という本音が、態度ににじみ出ていることがありました。

 

私からすれば、決して休みたくて休んでいるわけではないのですが、義母にはどうしても、本当はもっと頑張れるのにサボっているようにしか見えなかったらしいのです。

 

しかし、歳を重ねるとともに義母自身にも不調が(ようやく?)訪れて、徐々に態度が変わっていきました。

 

最近では人生でほぼ初めてめまいを感じたらしく、「めまいって本当に気持ち悪くて何にもできないのね」と嘆いていました。

 

私は20代の頃からメニエール病があり、めまいとはもはや親友のような長い付き合いですが、私が昔、めまいで寝込んでいると義母に「運動したほうがいいんじゃない?ちょっと走ってみたら?」と言われたことをずっと根に持っておりました(我ながら執念深い)。

 

しかし今回、義母のめまい体験にあれこれアドバイスしているうちに、過去の私の恨みのかなりの部分が成仏したような気がしています。

体調不良の先輩として

最近の私はむしろ、義母に対しては体調不良の先輩のような風格さえ備えております。

 

義母は念のため耳鼻科を受診して検査してもらい、特に異常がないので一時的な疲れでしょうと診断されました。

 

帰りの車の中で義母にしみじみと「あなた、これがしょっちゅう起こるなら、それは辛いわねぇ…」と言われて、ああやっとわかってもらえた、と、妙に嬉しく感じました。

 

もちろん私も義母も元気でいた方がいいのは間違いないのですが、人間、長いこと生きていれば持病や衰えはつきものです。

 

今後、鉄人というほどの元気を義母が取り戻すことはないのかもしれませんが、それでも、これからは嫁と姑二人三脚で、衰えや病気とうまく付き合っていけたらいいなと思っています。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ