「パパは大きな長男だと思って…」アドバイスの罪深さ

夫婦で協力して育児をするどころか、夫は自分の身の回りのことも自分でできない、しようとしない…そんな状況は、特にはじめての出産後に顕著に起こりがちです。

 

それまでは、夫が散らかした部屋などを妻がなんとかフォローしていたのが、赤ちゃんのお世話という膨大な時間を費やす作業が増えた結果、手が回らなくなるからです。

 

しかしその苦しさを訴えると、祖父母世代や職場の先輩・ママ友などから「夫は大きな長男だと思って~」「大きな子供だとあきらめて育てましょう」と言われることがあります。

 

しかし、このアドバイスを言い換えると、以下のような意味になってしまいます。

 

「あなたの家には一緒に育児してくれる大人はいないから、365日1人でやってね。もし大きな長男にも家事育児をしてほしいなら、あなたが育てなさい」。

 

ただでさえ、夜も細切れにしか眠れず、人生最大級に肉体的・精神的負担が大きい時期のママが、本来必要のない大人の教育までもしなければいけないのは辛すぎますよね。

 

また「大きな長男」呼ばわりは、大人の行動を期待してもまったく応えてもらえず、もうそう考えるしかない……というやむを得ない結論だとは思いますが、あまり良いものではないですよね。

 

そこで、SNSなどでは「もう”大きな長男”という言い方はやめよう」という発言も増えてきました。

 

特に現在30代以下の男性では「家事はお互いの状況を思いやってシェアするのが当然」「子供は両親がともに関わって育てるもの」という考え方の人が増えています。

 

夫婦間はもちろんですが、いま苦しんでいる友人や後輩に対して「パパなんて大きな長男みたいなものよ(だから我慢しなさい)」といったアドバイスも今後はなくなっていくと良いですね。

おわりに

今回は、夫が「大きな長男」と言われてしまう背景や、そう言わざるを得ない妻の心理などを考えてみました。

 

相手が子供なら、何をしてくれなくても、ただ心のままに生きていてくれるだけでいいと思えますよね。

 

でも、夫婦はやはりお互いが大人として大変さをシェアしなければ持続できないのではないでしょうか。

 

そして子供が将来「大きな長男」などと言われないように、当事者意識を持って家事育児に関わる親の姿をしっかりと見せていきたいですね。

 

文/高谷みえこ