トラブルやミスをメンバーが隠さなくなる話し方
多くのリーダーがやってしまいがちなのが、トラブルがあった時に「なぜ?」と聞くこと。
たとえば、プロジェクトの進捗が遅れているメンバーがいたとします。純粋に遅延原因を知りたくて「なぜ遅れているの?」と聞くことはあるでしょう。
しかし、メンバーからすると仕事の遅れを責められていると受け止めてしまいます。それにより、心理的安全性はガクッと下がります。
トラブルがあった時に「なぜ?」と聞いても、メンバーからは「すみません」という謝罪の言葉しか出てこず、頭を悩ませた経験のあるリーダーは多いことでしょう。
この状況を解消するには、「なぜ(WHY)」ではなく「なに(WHAT)」を聞くようにするのがおすすめです。
例えば「なにが起きたの?」「止まっていることは何ですか?」と「なに」を聞きます。
「なに」を意識して聞くことで、「なぜ」という聞き方では出てこなかった事実や原因を知ることができます。
原因がわかれば、そのメンバーとリーダーだけではなく、チーム一丸となって対策にあたり解決に取り組むこともできるでしょう。
必要であれば「一緒に問題を解決するために、まずは起きている事実が知りたくて教えてほしいんだけど…」と前置きするのもひとつの手です。
何があってミスやトラブルが起きたのか、具体的に質問していきましょう。メンバーと一緒に原因を探していくイメージです。
リーダーが絶対やってはいけないことは何か
これまでリーダーがメンバーとコミュニケーションをとるなかで、思った成果が上がっていないなら、組織やチームの心理的安全性を下げている可能性があります。
そんな時はここまで紹介してきた「ギャップ」を認識して、少し言葉を変えてみてください。
最後にもうひとつ。意味ある仕事をするためにも重要なのが、「責任を誰か一人に押しつけて解決した気にならないこと」です。
ミスやトラブルの原因をつくったメンバーを詰めたり叱ったりしても、心理的安全性が下がることはもちろん、リカバリーや再発防止の工夫にはつながりません。
たとえ、誰か個人のミスで起こったように見えるトラブルでも、役割などの見直しも含め、チーム全体の責任として解決するようにしましょう。
チーム全体でフォローし、支えていく姿勢を見せることで、誰もが安心して話せる状況を作り出していけるはずです。
心理的安全性が高くなれば自然とチーム内での会話が増え、アイデアが増え、助け合いが増え、チームとしての仕事にも良い影響がでてくるからです。
PROFILE 原田将嗣さん
心理的安全性を軸にした組織づくりの実践家。心理的安全性を切り口に、コンプライアンス意識の浸透、ダイバーシティの醸成、DXの土台となる組織づくりを支援。2020年にZENTech入社。『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』(飛鳥新社)を今夏発刊予定
取材・文/前田さよ