みずから学ぶ力をじっくり育てて
もう1つの方法としては、お子さんが自立して学習できる力を育てること。1~2か月はかかりますし、その間は親御さんが教えたり手伝ったりしてあげる必要もあって負担は増えます。しかし自立学習の力が育っていけば、後々親御さんの負担は大きく軽減されていきますから、トータルで見ると非常に「コスパがいい」アプローチです。
目指すは、お子さんが自分ひとりで学習に取り組んで答え合わせまで完了できるようになることです。そのために、勉強のやり方を分解し、一歩ずつ丁寧に教えてあげましょう。最初は一緒に手伝いながら、少しずつお子さんが「ひとりで大丈夫」と思える状態を作っていくことが大切です。
ご相談者様は、平日は余裕がないようですので、たとえば土曜日の午前中に1時間かけて親子で一緒に通信教材に取り組み「自立して学ぶ力」を育て、平日はお子さんがひとりで、負担のない分量のできる限りの学習をやるなどの計画を立てるとよいかもしれません。
みずから学ぶ力が育てば、やがて通信教材も1人で取り組めるようになります。
しかし、自立して学習できる力を育てるというのは、難易度が高いものです。親御さんの経験、知識だけでは具体的な方法が考えつかないことが普通ですので、勉強法を解説した書籍などを参考にすることもおすすめです。
学習指導要領も今、「主体的・対話的で深い学び」や「探究」など、能動的な学びを重視していますが、教育現場でも対応できているところはまだまだ少ないです。親御さんもみずから学ぶ力を育てるには何が必要か、どのような寄り添い方をしたらいいか、ある程度、学ぶ必要がある時代に変化したのだということは理解しておきましょう。
PROFILE 小川大介さん
教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。
取材・構成/佐藤ちひろ