読解問題や作文が苦手なお子さんには、家庭でどのように指導してあげたらよいのでしょうか。とくに小学校低学年など、幼い子のサポートの難しさが、ご相談者様のお悩みからうかがえます。教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生が、アドバイスします。

【Q】国語の物語文の読解と作文が苦手な子…

小1の子どもを持つ母です。国語の物語文の読解と作文に苦労しています。読解の問題で、「あなたならどうしますか?」という問いかけに対して、「自由に思ったことを書いてよいんだよ」と言っても「何も思わない」と言い、「主人公はどう感じたのでしょうか?主人公の行動から考えてみましょう」と言う問いかけに対して、「登場人物の気持ちがわからない」と言う始末。文章を構成するのも苦手です。正直、家庭での指導に限界を感じています。どのように導いてあげたら良いのでしょうか?

「読めば何かを感じ取るはず」という思い込み

大変多くの方が悩まれている話題です。そして、大人からの適切な手助けを得られていないために、必要以上に多くの子どもたちが困ってしまっている問題でもあります。

 

問題の所在は、親御さんたち(学校の先生にも目立ちますが…)が持つ、「読めば子どもは何かを感じ取るはずだ」と思い込みです。その思い込みの結果、国語のサポートが難しいものになってしまっているのです。

 

まず、物語を読むだけで何かを感じられる子はけっして多数派ではありません。ましてや、文章を読んで「自分だったらどうだろう」なんて考える子は、間違いなく少数派だということを理解しましょう。

 

さらに言えば、教科書に載っている文章を自分から「読みたい」と思う子も限られていますよね。この大前提からスタートすることが大事です。

 

興味がある分野であり、読みやすそうと感じる見た目なら、子どもは自分から読み進めます。では、心が動かない文章を読み取れるようになるには、どうすればよいのでしょうか。

 

まずは、「読めばわかること」から親子で話をしていきましょう。文章を一緒に読みながら、「誰がどこで出てきたんだっけ?」「なぜこんなことをしたんだろうね」といった感じで問いかけます。

 

子どもが「そんなのわかんない」と言うのであれば、「どこかに書いてなかった?一緒に探そうか」と寄り添いながら、「こういうことを言っているみたいだね」と探索していくのです。

 

そんなふうに、「心は動かないけれど、文章を読み取る必要のある課題」に対しては、情報を拾って読み解いていくアプローチを教えてあげてほしいですね。

 

場面設定を捉えるに当たっても、「もしも自分が登場人物なら」と想像させようとするのは無理があります。「登場人物になんて、なるわけないから!」というのが多くの子どもの本音ですから。

ご相談者様のお子さんは小学1年生とのことですが、そんな小さな子がひとりで場面のイメージができることのほうが、特別ですごいことだと理解してあげてください。

 

ほとんどの場合は、場面設定がくっきりと立ち上がって理解できるように、大人がお手伝いをする必要があります。どう思うのか、どう考えたかを聞くのは、そこができてからです。読む気が起きないもの、読めている気がしないものに想像力まで要求するのは酷です。

 

なので、俳優が台本をもらったときに世界観を広げていくように、登場人物の服装や表情、天気、時間、気温はどうかなど、具体的に場面をイメージできるように問いかけをしていきましょう。