黒田発言の真意は「経済の良化」を見据えたもの?
さて、それでは黒田総裁がこのような発言をした真意はなんだったのでしょうか?これまで日本では長らくモノの値段は上がらないと考える国民が大半を占めていました。
このような環境下だと、企業はエネルギーや資源価格の高騰を素直に価格転嫁できません。
そうなると、価格を据え置きながらも利益を維持しようとするのであれば、人件費や投資にかかる費用を下げなければいけません。
その結果、非正規雇用や外国人労働者が積極的に活用されていったのです。そうなれば、経済はどんどん収縮していきます。
しかし、足元ではようやく日本国民がモノの値段が上がっていくかもしれないというマインドセットの転換が起こり、企業が従来よりは価格転嫁しやすい環境が整ったのです。
そこで、企業が値上げをしても家計が買い控えないように政府がしっかりと支援をすれば、長らく苦しんできたデフレ経済から脱却できるかもしれません、ということを言いたかったのです。
文/森永康平
参考/日本銀行「公表資料・広報活動」https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2022/ko220606a.htm/
内閣府「消費動向調査」2022年5月分https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html