世の中に溢れるたくさんの情報は、必ずしも正しい内容ばかりではありません。間違ったニュースも多くあるなか、知らないうちに自分自身も騙されていることも…。フェイクニュースに騙されない方法とは?国際大学GLOCOM客員研究員の小木曽健さんに伺いました。

専門家が騙されることも

—— フェイクニュースには悪意をもって流された偽情報と、誤解や勘違いによって生まれる誤情報があるそうですが、近年は新型コロナウイルスに関するフェイクニュースも話題になりました。

 

小木曽さん:

新型コロナウイルスのフェイクニュースは難しい問題でした。なぜなら全地球人が答えを探している途中であり、まだ正解を知らないテーマについて、フェイクニュースと戦わなければならなかったからです。

 

さすがに「新型コロナは26~27度以上の熱で死滅する」なんていうデマには、「じゃあ、あなたの体温は何度ですか?」と突っ込めば済む話でしたが、たとえばウイルスの特性が解明しきれていない時期に「こんな対策は意味がない。なぜなら〜」というもっともらしいデマが流れても、当時はそれを否定できるだけの根拠がまだ揃っていなかったのです。

 

「何かを信じたい」と思っている人や、もっともらしい情報に騙されやすい人は鵜呑みにしてしまったのではないでしょうか。

—— ワクチンに関するフェイクニュースも多かったと思います。

 

小木曽さん:

そうですね。副反応と副作用を混同したような報道や、海外の論文を意図的に誤訳したデマなどを目にした結果、「自分が信じたいもの」に流され、誤った思考に傾倒してしまった人々が一定数いたようです。

 

また専門家であるはずの医師のなかにも、一部ですが「ワクチンは厚労省の陰謀」といった発言をする人がいました。専門家ですら「信じたいもの」「自分の願望」に飲み込まれてしまうのだ、と衝撃を受けたことを覚えています。

 

—— となると、専門家でもなんでもない一般人はなおさら簡単に騙されてしまいます。

 

小木曽さん:

新型コロナウイルスの情報であれば、厚労省から発信される情報が正しいと考えるのが至極合理的な判断です。「ツイッターに厚労省の陰謀と書かれていた」なんて言われる方がいますが、国家的な陰謀がツイッターに載っているはずありませんよね。これは科学的知識以前に、常識や社会経験で判断すべきことです。