バラの花がいちばん好き!と満面の笑みで 

バラの手入れをする當間ローズさん。

── ロスフワラーを児童養護施設に送る活動は、いつから始めたのでしょうか?

 

當間ローズさん:

2年ほど前、アーティストの大黒摩季さんとテレビでコラボさせていただき、児童養護施設を訪れたんです。そこで、ひとりの女の子が僕に「名前、なんていうの?」と話しかけてきて。

 

「ローズだよ」と答えたら、その子が「ローズってバラのこと?私、バラっていちばん好きな花なの!」と満面の笑みで言ってくれたんです。

 

その子の笑顔を見たときに「この子たちのために、何かできることをしないとだめだ!」と思いました。

 

僕が子どものころ、お母さんがもともと子どもを見る仕事をしていたこともあって、僕も小学生から中学生の頃にかけて、よく地元・静岡の児童養護施設を訪れていたんです。

 

大人になって、再び児童養護施設を訪れたときに、当時、子どもたちと一緒に遊んだ記憶が懐かしくよみがえってきました。それでロスフラワーを僕が買い取って、それを児童養護施設の子どもたちや、会った人に送る活動「バラ色プロ人生プロジェクト」を始めました。

 

── とても素敵な活動ですね。

 

當間ローズさん:

「一家一笑」という四文字熟語は僕が作った言葉ですが、お花一輪で、誰かを笑顔にできたら素敵だなと思って活動しています。

 

僕の場合は、お母さんがずっと家にお花を飾ってくれる家だったので、そういった感性を磨くことができたのかもしれません。児童養護施設の子どもたちも、お花をお部屋に飾って感性がより豊かになってほしいなと思います。お花を見て美しいと思える心の純粋さを、大人になっても忘れてほしくないなって。

 

多くの人は「幸せになるためにはたくさんのお金が必要」と考えているかもしれません。でも、お花を一輪渡すといったような、小さな親切ややさしさで、誰かのことを幸せにできるんです。

 

── お花を受け取った子どもたちは、どんな反応ですか?

 

當間ローズさん:

すごく喜んでくれました。それに、僕も児童養護施設に何回も通っているから、自然と子どもたちとも仲良くなるし。「また会いたい」と言ってくれるのが、僕にとっては何よりも嬉しい言葉です。

今ある日常が当たり前じゃない

お花一輪で、誰かを笑顔にできたらと語る當間ローズさん。

── 子どもたちに願うことはありますか?

 

當間ローズさん:

僕はいつも子どもたちには、もっとたくさんの価値観を見てほしいと思ってるんです。今見えてる世界だけがすべてじゃないと。

 

たとえば、日本には僕みたいな外国人もいれば、海外では日本とは違う生き方や価値観の人もいます。たくさんの人たちの価値観や世界に触れることによって、子どもたちの可能性が広がり、アイデンティティを見つけることにもつながってくるんじゃないかなと思います。

 

PROFILE 當間ローズさん

ブラジル生まれ静岡県出身。ポルトガル語、スペイン語、英語、日本の4か国語が堪能。陶芸や生花に精通しており、Instagram「toumarose_official」では、「薔薇色の人生プロジェクト」と題して「ロスフラワー」の活動についても発信。8月20日には浜名湖音楽フェスでロスフワラーを販売予定。

取材・文/間野由利子 写真/井野敦晴 取材協力/TRATTORIA庭