「つみたてNISA一択」の人の心理的な盲点

ではなぜ、両方やるのが正解なのか。お客様の声をもとに、つみたてNISAと学資保険の組み合わせから紐解いていきましょう。

 

学資保険は、子どもの大学入学時などあらかじめ決まった時期に、決まった金額のお金を受け取ることができます。

 

つみたてNISAにはそういった取り決めはなく、節税効果を得ながら投信積立で資産運用し、大学入学などに備えるスタンスです。

 

つみたてNISAだけで教育資金づくりを行っていた場合、大学入学などの時期に運用資産を取り崩さなければなりません。

 

けれども、つみたてNISAで運用する人の多くがそれを嫌がります。資産が増えていても減っていても、積み上げてきたものを切り崩したくない心理が働くのです。

 

そんなとき、並行して学資保険をやっていたらどうでしょうか。お客様の声のように「両方やっていて良かった」となりますよね。

 

学資保険で大学の入学金などを確保し、つみたてNISAはそのまま続けながら、教育資金の必要に応じて切り崩すなどフレキシブルに対応できるわけです。

 

注意すべきなのは保険選び。学資保険の中には、払い込む保険料に対し、受け取れる学資金の割合を示す返戻率が低く、元本割れするものもあります。

 

とくに、子どもの医療や死亡保障などを特約でつけられる保障型のタイプは要注意を。

 

ですから元本割れとならない、返戻率100%以上のものを選ぶようにしてください。

老後資金づくりの秘策は「トンチン年金」?

iDeCoと個人年金保険の組み合わせも同様です。

 

iDeCoだけで老後資金づくりを行っていた場合、老後を迎えたときに運用資産の取り崩しを余儀なくされます。

 

そのことに恐怖を感じる人が少なくありません。老後資金のために貯めてきたにもかからず、積み上げたお金を減らしたくないのでしょう。

 

そんなとき、並行して個人年金保険をやっていたら気持ちは違ってきます。固定の年金として毎月決まった額のお金が入ってくるため、iDeCoを取り崩す恐怖を和らげてくれるようなのです。

 

加えて、個人年金保険はiDeCoにはない利点を持ち合わせています。終身年金タイプのものを選べば、決まった額の年金を生涯受け取れるのです。

 

iDeCoの場合、年金形式で分割の受け取りは可能ですが、期間は最長20年と限定されます。

 

公的年金のように生涯にわたり年金を受け取れる民間の商品は、基本的には個人年金保険しかありません。

 

終身年金タイプの個人年金保険で注目なのが、通称・トンチン年金。人生100年時代に適した、長生きのリスクをカバーする商品です。

 

トンチン年金は、契約者が保険料の払込期間中に死亡した場合に支払われる死亡払戻金や、解約時に支払われる解約返戻金を大幅に減らし、その分、通常の個人年金保険より受け取れる年金額は多くなる仕組みのもの。

 

生涯受け取れるのに加え、長生きするほど有利になります。

 

つみたてNISAと学資保険、iDeCoと個人年金保険。どちらか一方と考えず、二刀流という選択も検討してみては?

 

PROFILE 竹下さくらさん

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科(MBA課程)客員教授。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損保・生保会社勤務を経て、1998年に独立。「なごみFP事務所」を共同運営する。

取材・構成/百瀬康司