高年収の人ほど“年金不安”が待っている

最後は「老齢年金」。公的年金は長期化する老後の生活の支えになります。

 

厚生年金に加入する会社員は老齢厚生年金、国民年金に加入する自営業者などは老齢基礎年金を原則65歳から給付されるのですが、自営業者などは会社員に比べて受給額が手薄なのはよく知られていますね。

 

したがって、自助努力による「自分年金」づくりは欠かせないでしょう。

 

会社員も安泰とはいえません。とくに高年収の人ほど要注意です。現役時代の年収が高い人ほど年金は多くなると思いがちですが、そうではないからです。

 

国の年金政策では現役時代の年収の50%水準を補償するとしています。これには年収の上限額が設定されており、およそ年収750万円のライン。

 

たとえば現役時代の平均年収が1500万円だった場合でも、年金受給額は上限の平均年収750万円の人と同様に、その半分の375万円程度しかもらえないイメージです。

 

現役時代に稼いでいた人ほど老後の年金収入とのギャップが激しく、貯蓄をしっかりしていなければ苦しい生活を強いられるのです。

 

公的保障は私たちの生活の安定や安心に欠かせないものですが、万全とはいえない面もあります。自分にとって役立つかどうか、一度じっくり調べてみては?

 

PROFILE 竹下さくらさん

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科(MBA課程)客員教授。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損保・生保会社勤務を経て、1998年に独立。「なごみFP事務所」を共同運営する。

取材・文/百瀬康司