親や親戚に見せるために描き始めた育児マンガが、SNSで大人気となって単行本化。5人家族の日常を綴った『ご成長ありがとうございます』シリーズは第4弾が刊行され、インスタグラムのフォロワー数はいまや49万人を誇る人気マンガ家・三本阪奈さん。
元りぼんっ子だった専業主婦がマンガ家になるまでの道のりについて聞いた前回に続き、三本家の夫婦関係や、親として大切にしていることについてお聞きします。
夫婦の共通点は「こだわりのなさ」
── 『ご成長ありがとうございます』の連載と並行して、幼稚園児、小学生、中学生の3児を育てる毎日。多忙な生活のなかで、三本さんはどんなふうにストレスを解消していますか?
三本さん:
次女が宿題せえへん、ネームが上手くいかない、けどやることいっぱいあるわ、といろいろ重なると、今でもたまにキーッてなりますね。
そういうときは 「子どもたちが寝た後に今日はちょっとお酒飲もう」「なんか映画観ようかな」とか考えながら、ひとつずつ手をつけて乗りきっていくしかないのかな、と思っています。
あとは夫にめちゃくちゃしゃべること。夫がどんだけ遅く帰ってきても、話を聞いてもらうために起きて待ってる、みたいな(笑)。
── 友達や身内に聞いてもらうのとは、また違いますか?
三本さん:
違いますね。友達とかにももちろんしゃべるんですけど、子どもの本質的なところまで含めた情報を共有できているのは、本当の意味では夫しかいないので。
おばあちゃん(三本さんの母親)は「なんでもええやん」みたいな感じの人だからあまり言えないし、やっぱり夫しかいない。
そういう意味でも夫に対しては「ありがとう」しかないんです。マンガを描くこともめちゃくちゃ応援してくれるし、ごはんも作ってくれるし、めっちゃ助けられているので普段から「ありがとう」はよく言うようにしています。
── 夫婦ゲンカもあまりないほうですか?
三本さん:
しゃべる量が多いので「言った、言わない」はしょっちゅうありますけど、大きなケンカはそんなにないですね。
夫はすぐ財布を落とすし、ほんまアホなところもあるし、ダメなところを挙げるとキリがないんですよ。でも、育児や家事を一緒にやっていく相手としては、まったくストレスがない人です。
だから、子育ての方針で意見が食い違うとかもないです。多分それはお互いが子育てに関して、まったくこだわりがない者同士だからだと思います。
たとえば、最近だと「次女のフミがどうやったら算数をわかるようになるんやろう?」というテーマが夫婦間であるんですけど、私たちはその方法の「正解」を持っているわけじゃないんですよ。
だから、「こういうやり方がいいんじゃないの?」「じゃあ1回、こうしてみる?」と2人で話し合いながら試していくしかないと思っていて。お互い「正解」がわからないから、特に押しつけ合うこともなくやれているのかもしれません。
それは家事のやり方なんかも同じで、人それぞれでやり方が違ったり、合わなかったりしますよね。うちは私が洗濯とかいろいろ雑なんですけど、夫はそれに対して「雑だな」と多分思っているだろうけれども、何も言わない。
だって、夫の実家に行くとお母さんがめっちゃきっちりしている人なんですよ。そういう家庭で育った人なんだから、私のやり方を雑だと思わないわけがなくて(笑)。でもそう思っていても文句をつけてくるようなことがいっさいないので、そこは本当に有難いなと思っています。