映画『それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ~るカーニバル』(公開中)で変身が苦手なオバケの男の子・ドロリン役の声を演じた北川景子さん。
男の子役を演じることに難しさを感じつつも、ドロリンには共感できる部分も多かったそうです。
男の子の声を演じる葛藤と監督の助言
── 男の子の声を演じるにあたって、どのようなアプローチをしたのでしょうか?
北川さん:
出演が決まってから、男の子が出ているアニメが流れていると気になって観てしまうこともありました。
プロの声優さんのようにはできないことは分かっていたので、「どうやって演じようかな」といろいろと考えていたのですが、やっぱり家では子どもがいるので大きい声で練習することもできず(笑)。
実際に、役として思いっきり声が出せたのはアフレコ現場でした。技術はないので、気持ちで演じることを意識しました。
男の子の声なので、低めかなと思っていたのですが、監督からのオーダーは「声量をあげて張りのいい声を出すこと」でした。男の子を意識しすぎて悩んでいたのですが、テンション高く大きな声で楽しそうに、と言われたときに「なるほど、それでいいんだ」と思ったら、気が楽になってスムーズに収録が進むようになりました。
── 難しいと感じた部分はありますか?
北川さん:
監督からは、「悲しんでいてもテンションは高く!」と言われたので、難しさはかなり感じましたが、そこは声を大きくすることで、うまく乗り越えられた気がしています。
人間的なドロリンに共感
── ドロリンのキャラクターをどう感じましたか?
北川さん:
「みんなみたいにできない」というコンプレックスを抱えているけれど、「できないから教えて」とは素直に言えないキャラクターだと感じました。
何もできない自分を知られたくないと強がっていたドロリンが、アンパンマンたちとの出会いを通して、できない自分としっかり向き合う努力を始めるというストーリーはとても素敵だと思いました。
── ドロリンに共感したポイントを教えてください。
北川さん:
できないことを恥ずかしいと思ってしまうところとか、わりと諦めてしまうところとか。「今から頑張っても、どうせ無理」と思うところは、ある意味人間らしく、共感したポイントです。
私も若い頃は「分からないから教えてください」となかなか言えなかったので、「分かる!」と感じる部分は多々ありました。
最近は「教えてください」と言えるように
── アンパンマンとの出会いを通じて変化したドロリンのように、北川さんも、今はダメな自分を見せたり、人に甘えることに抵抗はなくなっていますか?
北川さん:
抵抗がないかと言ったら、どうかなとも思うし、ダメな部分を見せられているかと言ったら、どうだろうと思う部分があります。でも、知ったかぶりをするのはよそう、と思うようにはなりました。
昔はオーディションなどで勝ち残るために、自分を大きく見せようと虚勢を張ったり、できないことをできると言ってしまうことも正直、ありました。オーディションに合格したい、自分を使ってほしいという気持ちが大きかったので。
でも、最近は「意外と何も知らないんだ」と思われたとしても、「知らないので教えてください」と言えるようになりました。そう言わないと後々、大変なことになると分かってきたので、丁寧に確認したほうがいいと思っています。