命令や押し付けはNG、ポジティブな声がけでサポートを
文章問題に向き合えるようになってきたら、解いている様子を横から観察し、苦戦しているようなら確認の声がけをしましょう。
たとえば「3行目で読むのをやめたな」と感じたら、「3行目までにどういうことが書いてある?」と声をかけ、問われていることをつかんでいるかどうかを点検していきます。選択肢でつまずいているようなら、それぞれの選択肢の内容を確認するお手伝いをしていきます。
ちなみに、前述した2のタイプ(場面の読み取りに気を取られ、想像が膨らんでしまっている)のお子さんであれば、「事実としてわかっていること」と「想像で判断したこと」を仕分けてあげる作業が必要です。
いずれにせよ、まずは本人が問題の情報をどう理解して、どう解こうとしているのかを可視化し、一つひとつ分解しながら確認すること。それを本人が意識できるよう、親御さんがサポートできるかどうかがカギになります。
また、本人が抵抗のない教科から取り組み、プロセスを意識する学び方が身についてきたら、別の教科の文章問題にも挑戦していく形で進めていくとよいと思います。
もう1点、気になるのはお子さんが5年生だということ。おそらく3年生くらいの時点ですでに読むことに問題が生じていた可能性が高いです。今の小学校は勉強しなければいけないことが多く、つまずいていることを自覚できないまま進級する子が増えているのですが、早い段階で気づいてあげられなかった場合、そのぶん親御さんの意識改革と関わり努力は必要になるでしょう。
思春期に差しかかっている時期ですので、命令したり叱ったり、押し付けるようなスタンスは絶対にNGです。あくまで助けるという意識で、「なるほどね」「いいんじゃない?」とポジティブな合いの手を入れながら「解けた!」という体験に導いてあげてほしいと思います。決して簡単ではないですが、きちんと寄り添ってあげられるかどうかが重要になります。
PROFILE 小川大介さん
教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。
取材・構成/佐藤ちひろ