文章問題をなかなか正解できないお子さんにはどのように寄り添ってあげたらいいのでしょうか。今回は、全教科において文章問題が苦手なお子さんを持つ親御さんからのご相談。教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生がアドバイスをします。

【Q】文章問題が苦手な子はどんな助けが必要?

小学校5年の子どもの母です。全教科で文章問題がとても苦手です。

 

国語や理科、社会であるような5択や3択式解答の文章題は「選択肢がない」と言います。一度答えたら見直しをしない傾向もあり、また、文面をよく読まず解こうとしているようなので、見直しをするんだよ、じっくりと読むんだよ、としつこく言っても全然直りません。

 

算数の文章問題も、大切なところを見落としていて、勘違いしたまま問題を解いています。文章問題が苦手な子はどうしたらいいのでしょうか?

まずは「考えのプロセス」を分解して可視化しよう

文章問題が苦手なお子さんというのは、大きく分けて下記の3つのケースが考えられます。

 

1.文章の情報をうまく読み取れていない

2.場面の読み取りに気を取られ、想像が膨らんでしまっている

3.「文章問題は時間がかかりそう」と思ってしまうなど、勉強への拒絶反応が強い

 

ご相談者様のお子さんは、「選択肢がない」と言っているので、きっと自分なりに文章を読んではいるけれど「イメージしたものにピッタリの選択肢でないと嫌だ」と思っているのでしょう。

 

だから、1のケースが考えられます。3の「勉強への抵抗感」も少しあるのかもしれません。

 

見直しをしないということなので、自分の考えを後から振り返り、解答例に照らし合わせて適宜修正していくという「学びのPDCAサイクル」をまず身につけていくことが重要かと思います。

まず答え合わせをして不正解があったら、「自分はこう考えたけど、解答例の説明によると、こちらの数字を気にする必要があったのか」など、自身の考えのプロセスのどの部分が違っていたのかポイントを絞り込む。

 

それができたら、次は解答・解説で示された考え方の道筋を理解し、そのうえで解説を見ずに解けるかどうかを再確認する。これが解き直しの手順です。

 

おそらくお子さんは、解き直しの前提となる「考えのプロセスの分解」をまだ自分ではできないので、親御さんは「最初はどこを見たのかな」「その次どうしようと思ったのかな」と、お子さんがどういうプロセスで考えたのかを再現できるよう声がけしてあげることが大切です。

 

お子さんが話す考えのプロセスを書き出し、「あなたはこういうふうに考えたんだね」と本人の頭の中を可視化してあげてください。

 

そのうえで「解説にはなんて書いてある?」と、一緒に解説を読んであげましょう。そして、「こういう手順で解けると書いてある」と、お子さんが解説の説明をできるかどうかを確認してください。

 

解説の説明ができたら、「あなたの考え方と、今説明してくれた模範解答の解説は、どこが同じでどこが違うのかな?」と、問いかけます。全部を間違えているのではなく、ある部分で間違えたことで不正解になっているという感覚を学ばせるためにも、「どこが同じか」ということを先に確認するのがポイントです。

 

このように思考のプロセスを分解して寄り添ってあげると、だんだん自分で解き直しの学習ができるようになり、文章問題への取り組み方が変わってくると思います。