今、予約が取れない工場見学として話題の島田電機製作所。エレベーターボタン1048個が押し放題の「1000のボタン」のファンも多いようです。B to Bメインのモノづくりの会社がなぜ一般人向けに工場見学を始めたのか、広報担当の大森さんに伺いました。

小さな町工場の大きな夢が詰まった工場見学

—— 現在「予約の取れない工場見学」として話題ですが、そもそも島田電機製作所とはどのような会社なのですか?

 

大森さん:

弊社は1933年創業の、オーダーメイドのエレベーターの意匠器具を製作する会社です。エレベーターの意匠器具とはエレベーターの押しボタンや到着灯などの表に出る電気品のことで、オーダーメイドのエレベーターの意匠器具作りにおいて、弊社は国内シェアの60%以上を占めています。

制作の様子

オーダーメイドのエレベーターの意匠器具というと、どこに使われているかピンとこない人も多いと思いますが、国内ですと、「都庁」や「東京スカイツリー」「あべのハルカス」など、中国ですと「上海ツインタワー」などに、大手エレベーターメーカーを通じて、弊社の製品が使われています。

島田電機製作所が手がけた意匠の一つ

素材となるアクリル樹脂をカットするのは機械ですが、研磨したり、組み立てたりと、完成するまではひとつひとつ職人が手作りしています。

アクリル樹脂を磨くと透明感が出る

—— 工場見学ではその過程を見ることができるのでしょうか?

 

大森さん:

そうです。工場見学は、約1時間で「0のつく営業日」に無料で開催していて、コースは「モノづくり見学コース」と「ボタン押しまくりコース」の2つがあります。

 

「モノづくり見学コース」では、工場で職人が実際にモノづくりしているところを見学し、製品が出来上がるまでの工程を隅々まで知ることができます。

手作業で丁寧に作っていく

また、どちらのコースも、実際にエレベーターで使われている押しボタンを含む「1000のボタン」を押すことができ、お子さんから大人まで多くの方に楽しんでもらっています。

 

—— B to Bビジネスにもかかわらず、どうして一般人向けに工場見学を始めたのでしょうか?

 

大森さん:

オーダーメイドのエレベーターの意匠器具というのは、基本的に企業間でしか取引を行いません。一般の方向けに工場見学を始めても、受注につながることは難しいと思っていました。

 

ただ、世界に誇れる技術を持っているし、すごいものを作っているというという自負はあって、一人でも多くの人に島田電機製作所のことを知ってもらいたいという思いがありました。

 

小さな町工場ですし、製品自体もニッチなので、一般の方は弊社のことをあまり認知していません。でも、工場見学を行えばきっと会社の魅力をわかってもらえて、エレベーターの意匠についても身近に感じていただけるはず、と思ったのが、工場見学を始めたきっかけです。