頭痛は心のサイン「見逃さないで」
相談者さんは「お姑さんに会った翌日に頭痛が起こる」ということですが、これは心のサインかもしれません。
「心身一如」(しんしんいちにょ)という言葉があります。
心と身体は切り離せないという意味です。気にしていないつもりでも、きっと体に不調が出るくらい心の負荷が積もっているのでしょう。心のSOSだと思って、何か対策を講じたほうがよさそうです。
対処法として、2つアイデアがあります。
1つ目は「斜め上を行く嫁を演じること」です。相手の想定を上回る立ち回りをするのです。
相談者さんは部屋が汚いと指摘され、「仕事が忙しいなら、家事代行を頼んだら?」とお姑さんに言われたということですが、それに対しこう返してみてはどうでしょうか。
「いいアイデアですね!ありがとうございます。家事代行、頼んじゃいますね。その分の費用をお願いできますか?」
こうして相手の攻撃的な言葉を逆手に取って返すことで、相手は「この人に攻撃しても仕方ないな」と感じるようになり、自分を守ることができるかもしれません。ただし、この方法は「お姑さんにどう思われても構わない」「関わりたくない」と割りきることのできる方にのみおすすめします。
もう1つのアイデアは「心のバリアを張ること」です。お姑さんとの関係を壊したくない方におすすめです。
お姑さんが来たとき、「自分と子どもの周りにバリアを張るイメージ」を膨らませてみてください。「目を薄めて視界をぼんやりさせる」という方法もアリです。想像力が豊かな人であれば、聞こえてくるお姑さんの声を頭の中でキャラクターの声に変換してみるのもいいですよ。頭の中で音楽を流すのもいいですね。
これらは、ビジネスで使われることが多い心理学の手法「NLP」と呼ばれます。NLPでは、苦手なシーンに遭遇したときに、「アンカリング」と呼ばれる、自分がラクになれるイメージに切り替えられるトレーニングをします。
例えば、
「耳たぶを触わる」→「森の中に立っているイメージのスイッチが入る」
といった具合です。
相談者さんの場合は、
「義母が来た」→「耳たぶを触る」→「イメージで森の中でリラックスして立っている」
などと心の瞬間移動ができるようトレーニングしておくと、心を守れるようになるかもしれません。
最後に、ほかの家族はお姑さんへどのような態度で接しているかという点も気になります。夫や舅、義理のきょうだいはどう受け止めているのでしょうか。もしほかの家族にも同様の言葉を投げかけているのであれば、相談してみるのもいいかもしれません。
例えば、
「お母さんの言葉がきついんだけど、どう受け止めてる?」
「はっきり言われたとき、どう聞き流してる?」
「上手な返し方ってある?」
などです。なにかいいヒントが見つかるかもしれません。
いろいろな方法を紹介しましたが、正解はありません。大切なのは不満を溜め込まないことです。家族の問題は長く続きますから、直球で受け止めない工夫をあれこれ試してみてくださいね。
PROFILE 八木経弥さん
やぎ・えみ。臨床心理士/公認心理師。心療内科や児童相談所、スクールカウンセラーなどの勤務経験のもと、開業カウンセラーとしても活動中。仕事では心理学を活用した育児の方法などを伝えている。2人の娘の母。
取材・文/大楽眞衣子