「嫌なこと」の仕分けで思考のクセに気づく

── 書き出した後はどうすればいいですか。

 

岩橋さん:

「自分の意思でやめられる=コントロール可能なもの」と「そうでないもの」に分けて考えてみましょう。

 

例えば、「満員電車が苦痛」なら早く寝て電車の時間を早めるという方法があるし、自分にとって苦痛な家事は、パートナーと相談して分担を変えてみる手もあります。

 

「上司の物言いにイラっとする」なら、相手を変えることはできないから事前にメールで報告するなど自分のできることをやってみる。ちなみに私は、会社員のとき、ストッキングを履くのが嫌でした。でも会社のルールで変えられないから、パンツスーツで通勤していましたね。

 

── なるほど…!

 

岩橋さん:

まずは、嫌なことリストのなかから、コントロール可能なものを改善する。無駄なことにエネルギーを注がないだけでも、ストレスが減って心がラクになるはずです。それによって思考もクリアになり、自分のことを考える余裕が生まれてくると思いますよ。

 

── 自分を客観視することで、状況の整理ができ、思考のクセに気づけ、心も癒やせる…「書くこと」には、いろんな効果がありますね。

 

岩橋さん:

書けば書くほど本心が出てきて、損得ではない“自分の心の判断”に近づいていきます。

 

そのために、「嫌なこと」という取り組みやすいことから始めてみる。自分がどんなことを考え、どう思っているかに気づくことで、隠れていた「やりたいこと」が見えてきますよ。

 

 

理想の働き方は、実生活とはかけ離れている…という時にこそ効果的な「嫌なこと」リストでの思考整理術。次回は、他者との関わりのなかで「自分の強み」を見つける方法を伺います。

 

PROFILE 岩橋ひかりさん

株式会社MYコンパス代表取締役、キャリアコンサルタント。オンラインキャリア講座「MYコンパスSHIFT」「ライフキャリアプロフェッショナル養成講座」主宰。10年間の会社員生活を経て35歳で起業。他者との違いにより自分らしさに気づく、N対Nコミュニティ型ライフキャリア支援を行っている。著書に『最強のライフキャリア論。』(時事通信社) がある。

 

取材・文/西尾英子