換気は「入口」と「出口」をつくるのがコツ

窓を5cm程度開けて換気している様子
カビ予防で部屋を喚起する場合、窓は幅5cm程度空けておくだけでも十分

── 梅雨時は部屋全体のジメジメも気になりますよね。カビや細菌を寄せつけないために、いい対策法はありますか?

 

藤原さん:

室内はみなさんが思っている以上に湿気がたまりやすいので、一にも二にも「換気」です! 雨の日でも大雨が部屋に降り込むほどでなければ、在宅している時間はできるだけ窓を開けて換気を行ってください。

 

じつは換気をするときは、2か所以上の窓を開けて、空気の「入り口」と「出口」をつくらないと意味がありません。ワンルームなどで窓が1か所しかない場合は、キッチンやお風呂場の換気扇を稼働させて、強制的に「空気の出口」をつくりましょう。

 

「空気の入り口」として、それぞれの換気扇の一番遠いところにある窓を開けると、屋外の新鮮な空気が入って一気に循環します。窓を全開にする必要はなく、5cm程度開ければ十分です。少なくても1日に1〜2回、各10分程度行えると理想的ですね。

換気扇を回して室内の空気を循環させているイメージ
換気扇も上手に活用して家の中に空気の出入り口をつくると、カビの予防になる

留守が多くて窓を開けたままにできないという人は、サッシの上部などにある通気口(または換気口)を開けて、換気扇をつけてから出かけてください。比較的新しい換気扇なら静音で一日中つけておける「常時換気」というモードがついていることも。換気扇の電気代は少額なので、つけっぱなしにするのがおすすめです。

 

住まいに24時間換気システム(24時間稼動できる浴室換気扇など)がある場合は、梅雨どきであってもスイッチを切らないようにしましょう。実際、「節約のため」や「暑い・寒い」などを理由に、このスイッチを切っている家庭が驚くほど多いんです。

 

また、「花粉症だから」「PM2.5が気になる」と言って、かたくなに外気を取り入れたくないという人もいます。屋外の空気が汚く感じるというのは大きな勘違いで、室内の空気のほうがチリやカビ胞子、二酸化炭素などによって、よっぽど汚れています。新しい空気を家の中に入れて、室内の空気が汚れたまま停滞しないように心がけましょう。

湿度を管理してカビにくい部屋づくりを

リビングで除湿器を作動させている様子
気温が低く湿度が高い日には除湿機が有効

── 湿気が多いときは、除湿機を使ったほうがいいのでしょうか?

 

藤原さん:

部屋全体の除湿をしたければ、除湿機よりもエアコンの「ドライ」や「冷房」のほうが効率的です。ただし、冷房での除湿は外気温がある程度高くないと効果が出にくいという特徴があるので、気温が低い日に室内を除湿したい場合は、除湿機があると有効です。

 

エアコンを使用するときは、エアサーキュレーターや扇風機を併用すると、空気が循環するのでなおよし。エアコンの対角線上にエアサーキュレーターを置いて、エアコンの風に当てて対流させるように使いましょう。

 

広いリビングなら、エアコンから一番離れたところにエアサーキュレーターを置いて、大きく部屋の空気を循環させてもいいですね。置く場所は、各家庭の間取りによって異なるので正解はありません。実際に使用しながら様子を見て、工夫していただくのが一番です。

濡れた長靴に靴用除菌剤を入れている様子
濡れたレインコートや長靴を持ち込むと、室内の湿度も上がるので注意。濡れた靴には靴用の除湿剤を使う方法も

── 室内の湿気はどれくらいを維持すればいいですか?

 

藤原さん:

カビや細菌が繁殖しにくく、私たちの皮膚が乾燥しすぎないベストな湿度は45〜55%くらい。「今日は乾燥しているかも」というような体感は当てにせず、ぜひ湿度計を使ってみてください。1か所ではなく、寝室やリビング、子ども部屋など部屋ごとに置くとさらにいいと思います。

 

これは余談ですが、梅雨から夏にかけて湿度が高い時季でも、「夜は健康のために加湿器をつけて寝る」「子どもが風邪ぎみなので加湿している」という方がときどきいらっしゃいます。室内が過剰な加湿になって、むしろカビや細菌を繁殖させてしまうケースが多いので、注意してくださいね。

 

PROFILE 藤原千秋さん

藤原千秋さん

住生活ジャーナリスト、ライター。「家のなか」のことをテーマにWeb、雑誌、新聞、書籍などで活躍。大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAbout「家事・掃除・子育て」ガイドを務める。 『人生が整う 家事の習慣』(共同監修 西東社)、『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著・監修書多数。

取材・文/大野麻里 撮影/北原千恵美