いよいよ関東甲越地方も梅雨入りしました。雨の日が多くなり、ジメジメした日が続きますね。梅雨の代表的な悩みといえばカビですが、この時季に気をつけたいのが、リビングや寝室の湿気対策です。
「気づいたらカビが!」なんてことにならないよう、寝具のケアや部屋の湿度調整、カビや細菌の対策を効果的に行うにはどうしたらよいのでしょうか。住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに教えていただきました。
「ベッドメイキング」がカビの原因に?
── 梅雨どきは、布団が湿気をズッシリ含んでいるように感じることも…。カビや細菌を防ぐために、この時季とくに気をつけるべき注意点はありますか?
藤原さん:
人間は寝ている間にコップ約1杯分、汗っかきの男性だと500〜800mlもの寝汗をかくといわれています。じつは就寝中に、すごい量の水分を布団が吸い込んでいるんですよ。
けれども梅雨で部屋の湿度が高いと、布団はいつまでも乾かずに湿ったまま。そのうえ雨の日が続いて洗濯物を部屋干ししていたりすると、その水分まで布団が吸ってしまい、ますますカビや細菌が繁殖しやすくなるのです。
その状態の布団で寝るということは、細菌に触れたまま、カビの胞子を何時間も吸ったまま眠ってしまうということ。肌が荒れる、喉がガラガラする、鼻炎がなかなか治らない…など、気づかぬうちに布団のカビや細菌が原因での体調不調につながる人もいます。
そうならないためには、日々布団をしっかり乾かすこと。しかし、実際は「布団を干す(乾かす)」という行為が、日常的な家事に組み込まれていない家庭がけっこう多いんですよね。
── 布団を干したほうがいいと頭ではわかっていても、「天気が悪い日が続くと、なかなか干すタイミングが難しい…」という方が多いのではないでしょうか。
藤原さん:
そうですね。「共働きで忙しいから毎日干すなんて無理」「マンションの規約でベランダに布団が干せない」と言う人も多いです。そういうときは「0か100か」で考えるのではなく、「いまのあなたの生活環境でできること」を探って工夫してみてほしいんです。
そのためにはまず、「布団は晴れた日に外に干すもの」という思い込みを捨てましょう。洗濯物と同じで、布団だって、部屋干しでもいいんですよ。掛け布団を椅子に引っ掛けて、人が寝ていた部分に空気を当てるということを毎日するだけでも、乾燥という意味ではずいぶん違います。
それもできないようなら、朝起きたときに布団をガバッとめくりあげた“だらしのない状態”のままにしておいてください。起き抜けにきれいにベッドメイクしてしまうと、私たちのカラダから出た汗などの水分が布団の内側にこもってしまい、カビや細菌が繁殖する原因になるからです。
寝ていない間、布団が空気に触れる面が多い状態にして、湿気を飛ばすことがたいせつです。布団乾燥機をお持ちの方は、週に一度ほど使用してしっかり乾かすといいでしょう。もちろん、干せる環境の方なら、天気のいい日は外で天日干しできるといいですね。
── その方法なら天気に左右されずに続けられそうです。もし布団にカビが発生してしまったら、どうしたらよいでしょうか?
藤原さん:
カビた布団をクリーニングに出して丸洗いするという方法がありますが、5000円〜1万円程度のコストがかかりますし、完全にカビを落とすのは難しいです。布団の値段によっては、カビが発生してしまったらあきらめて買い替えたほうがいい場合も。
最近では街中にコインランドリーも増えているので、洗える布団やベッドパッドなどを自分で洗濯・乾燥するのも手です。定期的に洗って高温で乾かせば、カビの予防にもなります。
そのほか、カビの予防対策としては、布団の下やマットレスの下に敷くだけで、汗や湿気などを吸い取ってくれる「除湿シート」という商品もおすすめです。
一方、布製品でやってしまいがちな間違いは、布用除菌消臭剤をかけて満足してしまうこと。臭いが消えてもカビや細菌は見えていないだけで残ったままです。除菌消臭剤では根本的な解決にはならないので気をつけましょう。