小学生がいるお宅の多くでは、4月下旬から5月にかけて、担任の先生による家庭訪問が行われる時期ですね。 家庭訪問と言えば、かつてはリビングに上がってもらうのが主流でしたが、時代の変化とともに最近では様変わりしているそう。 今回は、はじめての家庭訪問に向けてママが気になる疑問「玄関でもいいの?」「お茶やお菓子は出すべき?」「何を話すの?」などに答えていきます。
目次
家庭訪問の「玄関でけっこうです」は社交辞令なのか
初めての家庭訪問を控え、最も気になることの1つが、リビングなど家の中まで上がってもらうのか、玄関先でOKなのか…ではないでしょうか? フルタイム勤務の場合、午前中は勤務して帰ってすぐ家庭訪問というパターンもあり、片付ける時間もないのでできれば玄関の方が助かりますよね。
小学校から受け取る「家庭訪問のお知らせ」には、あらかじめ「玄関先でけっこうです」と書かれていることがあります。 しかし、先輩ママたちに話を聞くと、「玄関先で」と書かれていても、「どうぞお入り下さい」と声をかけると応じる先生もいれば、「いえ、こちらで」と固辞する先生もいるようで、実際のところどうすればいいのか迷ってしまいますね。 「どうぞ」と言われたときに断るのかどうかは、学校の統一方針であったり先生の判断に任されていたり、学校や校長によってそれぞれ。「正解はない」というのが実情のようです。
児童数が多く学区が広い小学校では、1軒ごとの時間が限られているので、絶対に玄関先で、と決まっていることもあります。
あるママからは、 「子どもが、先生が家にくるからと、部屋を飾って楽しみにしていたのですが、決まりなのでと上がってもらえず子どもはガッカリ…」 という体験談も。どうしても迷うなら、年上の子がいる近所のママに聞いてみるのもいいですね。可能なら1人ではなく複数の人に聞いてみると様子が分かると思います。
なお、筆者がママたちに聞き取りした範囲では、学校からのお知らせプリントに「玄関先で」という記載がなく、「お子様のご家庭での様子をお聞きしたいと思います」とある場合、かなりの確率で部屋に上がってもらうことが多いようです。 家の雰囲気を知ることは、新しく受け持ったクラスの子どもたちがどんな子か知る手がかりになるため、担任の先生にとってもプラスになるといえます。
ただ、家族に病人がいるなどの理由から、玄関でお願いしたい…という場合にはその旨を伝えれば問題ないでしょう。
家庭訪問、お茶やお菓子は用意するべき?
担任の先生に部屋へあがってもらう、もしくは玄関の上がりかまち等に腰かけてもらう場合には、お茶やお菓子は出すべきでしょうか? 「お茶などの接待は固くお断りします」などの案内があればそれに従えばよいですが、何も書かれていないと迷ってしまいますね。
1日に何軒もの児童の家を訪ねる先生としては、すべての家で出してもらったお茶を飲んでいてはトイレが近くなって困ったり、お菓子の持ち歩きに苦労したりする可能性があります。 逆に、手を付けないのは失礼だからと、のどが渇いていなくても必ずひと口は飲むという先生もいるほど。 とても暑い日なら冷たいお茶やおしぼりが喜ばれるかもしれませんが、あえて用意しなくても気を悪くされることはないでしょう。
家庭訪問の意味・目的は
「親と担任が話すだけなら学校でできるのに、なぜわざわざ家に来るの?」と、家庭訪問の目的や意味に疑問を抱く人もいると思います。
新年度のスタート時期に家庭訪問を実施する目的は、おもに次のようなものと言われています。
- 非常時に備え、児童の自宅の場所を確認
- 周囲の交通状況や人の目が届かないゾーンがないかなど安全面の把握
- 担任と児童、保護者のコミュニケーションのきっかけ
学校では控えめでおとなしい子が家では弟や妹と大騒ぎしている姿を見たり、趣味やスポーツなどの道具、ペットなどを見かけることで、先生は子どもと共通の話題が作りやすくなります。
また、ママにとっても、子どものことで気になることがあっても、わざわざ学校に出かけていくほどではなかったり、参観の日は前後に他のお母さんが待っていたり、内容が周囲に聞こえてしまったりという心配もあります。
それほどトラブルもなく穏やかに過ごしている子のママからすると、何の役に立つのかな?と思うかもしれませんが、家庭訪問は、日頃気になっていることをまとめて新しい担任の先生と話し合えるチャンスでもあるのです。
昔ながらの家庭訪問は減っている
現役の小学生ママに聞いてみたところ、家の中で先生と保護者が座って話し合う昔ながらの家庭訪問は年々減ってきています。
私立の小学校では児童の自宅が広範囲に及ぶため、希望者のみ家庭訪問を実施したり、公立小学校の家庭訪問の時期に学校で個人懇談を行うこともあります。 公立小学校でも、最近では、安全のための自宅位置確認や地域の巡回だけにとどめるところも増えています。
家庭訪問の制度が始まったのは、昭和の戦後しばらく経った頃とされていますが、現在では共働きの過程が増えたことや、プライバシー保護の意識が高まったこと、「働き方改革」による教員の労働環境改善の動きなどから、家庭訪問のあり方も見直すべき時期にきているのかもしれません。
「家庭訪問は面倒だけど、あってほしい」という声も
ただ、家庭訪問がないために、先生とそれぞれの保護者とのコミュニケーションが不足するのは少し心配な面もあります。 あるママは次のような不安を打ち明けます。
「クラスに、気に入らないことがあるとすぐにたたいたり蹴ったりする子がいるのですが、親は参観にもクラス懇談にもまったく参加しません。その子の世話はおばあちゃんが主にしていて、学校のことはよく知らない…という感じなので、トラブルがあった時、様子が分からないんです。担任の先生だけでも家でのようすを把握しておいてほしいと思うのですが、ウチの学校、家庭訪問がないんですよね…」
親による児童虐待事件は毎年後を絶ちませんし、学校でのトラブルの際、正しい状況を見ようとせず学校に怒鳴り込むような、いわゆる「モンスターペアレント」問題などもあります。
家庭訪問がない時は、それに替わる学校と保護者の交流の機会は必ず設けるべきでしょう。
小学校の家庭訪問を有意義な時間に
筆者の娘たちの小学校・中学校は、ともに家庭訪問がありました。 高学年以降は当日はさっさと友だちと遊びに行ってしまいますが、低学年の頃は先生が家に来るのは特別なことで、お茶を出す係を務めたり、先生と距離が近くなったようなうれしさを感じているようでした。
当日までは片付けや掃除で少し気が重いですが、先生と1対1で話せるせっかくの機会でもあるので、聞きたいことや伝えたいことをまとめておき、有意義な時間にしたいですね。
文/高谷みえこ