赤ちゃんや子どもを育てているママで、一度も「辛い」と思ったことがない、という人はかなり少数派なのではないでしょうか?
しかし、かわいい赤ちゃんに恵まれて幸せなはずなのに「辛い」なんて母親失格なのでは…贅沢と言われるのではないか…という思いから、なかなか身近な相手には口に出せないという人も多いはずです。
しかしSNSやネットには「育児辛い」の声があふれていて、内心は誰だって辛い時があることが伝わってきます。
今回は、その中でも特に多い「育児が辛い」時の状況と、それぞれのママたちの声、乗り切るヒントなどを集めてみました。
目次
ワンオペ育児はどんなに子ども好きでもやっぱり辛い
3人の男の子をワンオペで育てながらフルタイムで働いているママは、「最近ほとんど笑っていない」と嘆きます。
「産休明けで復帰して半年ですが、予想以上にハードです。朝4時半に起き、3人を保育園に連れていって、帰ると怒涛のように食事とお風呂と片付けをするのですが、その横でケンカしたり悪さを始めて散らかす上の2人、抱っことミルクを求めて泣く末っ子の相手でフラフラ。何とか全員を寝かしつけますが、最近夜泣きも続いていて寝不足です。子どもは大好きだけど、夜中にユラユラ抱っこしながら、ふとこのまま消えてしまったらラクになるかな…と思ったりします」(Yさん・32歳・4歳・2歳・0歳児のママ)
人類は何千年もの間、母親が1人だけで子どもを育てる環境ではなく、集団の中で複数の仲間が協力して育児をしてきました。
核家族化が進んだ現代では、プライバシーが守れるようになったり、親の納得いく方法で育児ができるようになったというメリットと引き替えに、夫婦の勤務状況によっては、ママに過酷なワンオペ育児がのしかかるデメリットも手に入れてしまったのですね。
双子育児はかわいさ2倍・辛さも2倍?!
双子や三つ子はよく「かわいさ2倍、3倍」と言われますが、ママには当事者以外には想像できない辛さもたくさんあります。
「ときどき検診やママ教室などで、抱き癖の心配はいりません、赤ちゃんにとってママは世界で1人なんだから心ゆくまで抱っこしてあげて下さいね…などと言われるのですが、同時に泣きだしたら心ゆくまで抱っこなんてできなくて、2人とも不満そうに泣き続けるばかり。きょうだいだったら言い聞かせたり、年相応に接し方を変えられるけど、同じ年だから同じことをしてあげないといけないし…」(Eさん・29歳・4ヶ月の双子のママ)
「両方の実家も頼れず、常に双子の一方を抱えて哺乳瓶を洗ったり、お風呂に入れたり…体を休める瞬間がなく、産後3ヶ月で両手の腱鞘炎と腰痛になってしまいました」(Fさん・30歳・1歳の双子のママ)
母乳育児、自分で選んだけど…辛いときだってある
ミルク育児の場合、母乳が出にくかったり、服薬中・保育園入園などの事情からやむを得ずそうなったという人も多いですが、母乳育児はママ自身が希望して続けているのだから「辛い」とは無縁のように思えるかもしれません。
しかし、中にはこんな「辛さ」を感じているママも。いくつか紹介します。
「赤ちゃんがひっぱり飲みしたり噛んだりするので、乳首が切れて激痛が」
「産院が母乳推進だったので私も!と頑張っていますが、マッサージも痛いし、出ない辛さを訴えてもがんばりましょうとしか言ってもらえない」
「母乳は消化がいいせいか、7か月でまだ授乳3時間おき。離乳食の後も母乳を飲む子なので、子どもを預けて歯医者や美容院など待ち時間で3時間超えそうな場所へ行くことができません」
「夜中の頻回授乳が続いています…横でグースカ寝てる夫を見るとイライラ」
「乳腺炎になるといけないので、好きなケーキもポテチも餃子もビールもお預け。それだけなら我慢もするけど、せめて夫は目の前で美味しそうに飲み食いしないでほしい!」
と、お乳周りのトラブルや頻回授乳、そして夫の理解のなさが辛い…という声も。
そして、
「だからといって、母乳やめたいわけじゃないんです。大変なことがあっても、この子が母乳を卒業する日まで頑張りたいけど、その心境をなかなか周囲に理解してもらえないのが一番のつらみかも」
「辛ければ母乳やめてもいいという自分と、最後までがんばりたいという自分のせめぎ合いが辛いです」
というママの声も印象的でした。
2人目育児でもつらい…その意外な理由
「育児が辛い」というと、初めての慣れない育児で苦労するママの姿が浮かぶかもしれません。
しかし意外にも、「2人育児がこんなに辛いなんて」というママもたくさんいます。
「上の子の赤ちゃん返りが激しくて、今まで自分でできていたことを全部ママやってと泣いたり、園でお友だちと誰彼なくケンカして怪我をさせたり。保健師さんには上の子優先でと言われるし、夫にはこんなに下の子を泣かせて大丈夫なのかと言われるし、私には子どもを2人持つ能力なんてなかったんだ…私が身の程知らずなことをしたせいで、子どもたちの人格をめちゃくちゃにしてしまうかも…と思い詰めたことも」(Aさん・31歳・5歳児と0歳児のママ)
「長女は比較的おとなしいとは思っていましたが、4歳離れた弟が生まれて、あまりにも手がかかり、違いに驚いています。大きな声でよく泣くし、一瞬でも目を離すとすぐどこかへ行ってしまうし、すぐかんしゃくを起こしたり他の子に手を出して保育園で謝ることばかり…子育ての大変さを2人目になってかみしめています」(Tさん・30歳・6歳児と2歳児のママ)
専業業主婦ならではの「育児辛い」もある
世間ではのんびりしていると思われがちな専業主婦ですが、24時間子どもと過ごし、子育ての大変さを誰とも分かち合えないことは意外と精神的に辛いもの。
筆者も育児中、専業主婦だった時期と会社員だった時期があります。
仕事内容や子どもの性格などにもよりますが、精神的には圧倒的に専業主婦時代の方が大変というか、子どもと過ごせて幸せではあるものの、大人との会話ができない、買い物や家事なども自分のペースで動けないなど、独特の辛さがあったと感じています。
さらにこんなママの声も。
「子どものいない独身の友人と話した時、会話の端々に”暇でしょ?”と思われているのが分かってなんだか複雑…。24時間営業のお店で、言葉の通じない新人バイト教育しながら接客も厨房も皿洗いも経理もやってる感覚ですが」(Hさん・28歳・1歳児のママ)
「いまは収入がないから、ストレスが限界だと思っても、子どもを預けてお出かけしたりできないので辛いです。夫に頼んでも、自分もきつい仕事を家族のためにがんばっているのに贅沢と言われるのが目に見えているので」(Sさん・30歳・2歳児と1歳児のママ)
子どもはかわいい。「育児辛い=育児やめたい」ではない
勇気を出して(または思わず)「育児が辛い」と口に出したものの、その時の周囲の反応でより辛くなってしまった…という人も非常に多くいます。
代表的なのが、「子どもがかわいくないの?」という言葉。夫から言われたという人も多いでしょう。
「子どもがかわいくないから育児が辛い」のではなく、どんなに子どもを愛していても、体力の限界を超えれば辛いのは当たり前ですし、育児にはここまで紹介してきたような理不尽さや忍耐がつきもの。
なかなか周りに頼れない現代の家族構成ではママが辛く感じる場面は非常に多いのですが、「愛情さえあれば楽しく育児できる」と思われてしまう辛さを訴えるママはとてもたくさんいます。
ただ「今が辛い」だけで、決して「もう育児をしたくない」わけではないのですが、夫以外にも、子どものいない知人や身内、子育て経験があってもすでに当時の記憶が遠ざかっている祖父母世代からは理解・共感してもらえないことも多いようです。
「育児辛い」を乗り切る方法は
決して子どもがかわいくないのでも育児をやめたいのでもない。けれど大きな辛さを感じている…。
そんな時、先輩ママたちが実行していた乗り切る方法を紹介します。
1人の時間を作る
ときどき1人の時間を作って息抜きできたら…と疲れた心で願っているママはきっとたくさんいますが、「贅沢なのでは?」とがまんしている人も多いはず。
金銭面がネックだったあるママは次のようにして費用を作りました。
「機械が苦手で、スマホもぜんぶお店の人にやってもらっていたのですが、少しだけがんばって調べ、格安スマホに変えました。それで月数千円が浮いたので、保育園の一時保育を予約し、心おきなく家事を片付けたり、本屋さんやカフェに行ったりする時間を作りました」(Iさん・32歳・1歳児のママ)
金銭面ではなく「子どもがかわいそう」「私の母はそんなことしていなかったけど」など、後ろめたい気持ちがある場合は、ためしに1回だけと決めて実行してみるのもいいですね。
リフレッシュして子どもに向き合える、意外と子どもが楽しそうに過ごしていた…など、予想しなかったプラス面が見つかるかもしれません。
SNSで吐き出す
「ママ友に、上の子はイヤイヤ期、下の子は夜泣きで辛い…という話をしたら、自分はぜんぜん苦労なくて、子育て楽しいよ?子どもかわいいし、と言われ、自分ってなんてダメなのかと逆に悲しくなってしまいました。でも、ある時SNSを見たら、同じように感じている人がたくさん。無理にリアルの相手に言う必要もないと思い、育児のグチ専用のアカウントを作りました。共感してもらえるのは何より力になります」(Mさん・33歳・2歳児と0歳児のママ)
たまには自分も泣く
「ミルク飲んだはずなのに、30分もしないで目を覚まして泣く…ということが続くと、自分も泣きたくなるときってありますよね。そんな時、私はけっこう一緒に泣いてました。最初はママなのに大人げない…と思ったけど、我慢しない方が意外とすぐ気分が切り替えられるんです」(Wさん・36歳・7歳児と3歳児と1歳児のママ)
夫への愚痴は「宣言」してから言うと傷つきにくい
夫に「育児が辛い」と話して、理解されずに傷ついたという人はとても多いです。
男性は何かトラブルがあれば解決策を提示して行動するという思考回路を持っている人が大多数のため、妻から「育児が辛い」と言われたら、極端に言うと「じゃあ育児をやめれば」という返事になってしまいます。
それではケンカになるか、傷ついて何も言えなくなってしまいますよね。
多くの男性にとっては、結論の出ない話が続くのは大きな苦痛。そこで「今から愚痴を言います!」と宣言するのがおすすめです。
「ちょっと毎日頑張りすぎて疲れちゃったから、5分だけ愚痴ってもいい?アドバイスもありがたいけど、少しだけうんうんって聞いてくれると一番うれしい」
もちろん男性でも共感力の高い人はいますが、ほとんどの場合、このくらい言ってやっと伝わることが多いと思われます。
「子育てが辛い」のまとめ
たくさんのママの声に、「辛いのは自分だけではない」と少しだけホッとしていただけたでしょうか?
世の中には、辛いだけの育児も楽しいだけの育児もないはず。この記事が少しでも乗り切り方の参考になれば幸いです。
文/高谷みえこ