“シンプル・使いやすい・買いやすい”。
誰もが知っている「無印良品」のアイテムは、整頓収納にニガテ意識を持っている人を、救ってくれます。
今回は、無印良品を運営する株式会社良品計画の生活雑貨部企画デザイン室に13年間所属した後、現在は整理収納アドバイザーとして活動している「ものとかぞく」主宰の水谷妙子さんのお宅を訪問しました。
6歳の娘さん、4歳と2歳の息子さんのママでもある水谷さん。そんな彼女が、子育てに、家事に、仕事に…と忙しく生活する中で、どのように収納術を生かしているのか。いろいろと話を聞いてきました。
目次
\ 数ある収納ケースから、水谷さんがセレクト /
仕切り系収納ケース3種類 “これが使いやすい”
無印良品には、たくさんの収納ケースがあります。製品を企画していたという水谷さん自らが「使いやすい!」と太鼓判を押す仕切り系の収納ケース3種類と、その特徴について教えてもらいました。
1.ポリプロピレンメイクボックス
15種類ものラインナップがある「ポリプロピレンメイクボックス」シリーズ。売り場では、ヘルス&ビューティコーナーに置かれています。
「もともとナイロンのメイクバッグにおさまるか、化粧水のボトルが何本入るかなどを検証してモジュール化された製品。角が丸くなっていて、積み重ねていけるのが特徴です」
ポリプロピレンメイクボックス・水谷さんの実用例
ポリプロピレンメイクボックス・仕切付・1/2横ハーフ
コンロ下の引き出しにフライパンを立てて収納している水谷さん。その脇の空いたスペースに1/2横ハーフの仕切付のポリプロピレンメイクボックスを配置。調理道具を収納している。
「調理道具はカトラリーと一緒に引き出しに収納しがちですが、形もサイズもバラバラなので整理しにくくなりがち。絡まってカチャカチャと金属音がなるのも嫌なので、この収納法にしています。出し入れしやすいよう、収納するものは1マスに1つと決め、手前側によく使うものを入れています」
ポリプロピレンメイクボックス・1/2横ハーフ
キッチンの引き出しには、調理器具の代わりにラップ類を収納。そのデッドスペースにはポリプロピレンメイクボックスを置き、排水溝のネットを入れている。
「ネットは毎日取り替えるものなので、シンクからも手が届きやすい場所に。引き出しの中なので、蓋なしのものを選んでいます」
ポリプロピレンメイクボックス・蓋付・小
湿気に弱いジェルボール状の洗剤を、蓋付きの収納ボックスに収納。
「本来ならワンアクションで取り出すために、収納ボックスに蓋は不必要です。ただ、『ニオイのあるもの』『湿気に弱いもの』『隠したいもの』などの場合は、蓋付きをオススメします」
ポリプロピレンメイクボックス・1/4縦ハーフ
キッチン背面の棚の引き出しには、カトラリー類を分類して収納。
「ここの引き出しは深さがあるので、スペースを有効活用したく、収納ボックスは2段重ねにしています。ポリプロピレンメイクボックスには溝がついているので、カチッと固定されるので便利です。普段使う家族のカトラリーは上段に、お客様用のカトラリーやストックは下段に収納。長さが合わず、箸が少し飛び出していますが、逆に取り出しやすいんです」
ポリプロピレンコットン・綿棒ケース
取材時は、シンクの近くに無造作においてありましたが…。
「綿棒ケースを利用して、その中に子どもの薬を入れています。風邪を引いているときなど、薬を飲ませているときは、飲ませるのを忘れないようにあえてキッチンの上に出しておくんです。メイクボックスの小さいのが、入れるのにちょうどよくて。シンク近くにおいておくことで、スポイトを洗ったりするときも便利。使わないときは、引き出しのなかにそのまましまいます」
ポリプロピレンメイクボックス・1/2
バスルームの上の棚は、ポリプロピレンメイクボックス・1/2を並べて洗剤やシャンプーなどのストックを整然と並べている。
「指を引っ掛ける場所があるので、高いところにある棚に収納しても、出し入れしやすい。半透明なので、中に入れた日用品のストック量もパッと把握できます」
2.ポリプロピレン整理ボックス
「ポリプロピレン整理ボックス」は、4種類。売り場では、キッチンコーナーに置かれています。
「キッチンの引き出しの中を整理するツールとして作られた製品なので、カトラリー類や調理器具がおさまるサイズ感になっています。また、側がナナメになっているので、使っていないときは深く重ねることができるのも特徴です」
ポリプロピレン整理ボックス・水谷さんの実用例
ポリプロピレン整理ボックス4
広い冷蔵室のなかを「グルーピング(ジャンル別に仕分けること)」するのにポリプロピレン整理ボックスを活用している水谷さん。
「長細い容器は、奥行きがある冷蔵室を効率的に仕分けることができます。収納のルールは特に細かく設定せず、食材を買ったタイミングなどで、グルーピングできそうならジャンルごとに同じ容器に収納していく感じです」
納豆やもずくなど、朝ごはんで必ず使うものをグルーピング。
こちらは、「味噌汁セット」。
「味噌や出汁、具などを全て一緒にいれて、作るときはこれを取り出しさえすればOKという状態に」
既に開封していて「早めにつかわなきゃ」というものをまとめたもの。
「ここから意識して献立を決めるようにすると、食材の賞味期限切れを防ぐことができます」
ポリプロピレン整理ボックス4
グラスやコップ類の収納は、同じ種類のものをグルーピングしてポリプロピレン整理ボックス4に収納。
「ひとつあたりに収納できる量も限定的なので重くなりすぎず、グラス類が入った状態でもサッと手前に引き出せます。例えばママ友が何人もきたときには容器ごと出すことができるのも利点です」
3.ポリプロピレン小物収納ボックス
こちらは「小物収納」ボックス。形や種類も豊富なラインナップを誇ります。水谷さんのお宅で愛用しているのは、「デスク内整理トレー」。売り場では、ステーショナリーコーナーに置かれています。
「机の引き出しを効率よく仕切るためにつくられた製品です。可動の仕切り板とミゾがついているのが特徴。ステーショナリーはもちろん、私は名刺を入れたり薬を整理したり……と多用しています」
ポリプロピレン小物収納ボックス・水谷さんの実用例
ポリプロピレンファイルボックス・スタンダードタイプ・ワイド・A4用
シンク下にある深い引き出しには、キッチンで使う洗剤のストックや細々した掃除グッズなどを収納。
「シンク下は、湿気があるので絶対に食品は収納しません。代わりに、掃除道具などをファイルボックスでグルーピングして収納。ワイドは幅が15cmあるので、大きなものも入るのがよい点です!」
ポリプロピレンファイルボックス・スタンダードタイプ・A4用
吊り戸棚の上の段には、使用頻度の低いものを収納しています。ポリプロピレンファイルボックスに入れているのは、ハンドブレンダー。
「直置きでなく、ポリプロピレンファイルボックスに入れておけば、踏み台要らずで手を伸ばせば取り出すことができます」
ポリプロピレンファイルボックス・スタンダードタイプ・1/2
ポリプロピレンファイルボックスのハーフタイプは、食品のストックをグルーピングするのにちょうどよいサイズ感。
「『どれくらい残ってたっけ?』と忘れがちな在庫量を把握するため、半透明の容器にしています。ファイルボックスシリーズにはホワイトグレーの展開もありますが、扉内の収納については『見える』ことが絶対条件です」
ポリプロピレンファイルボックス・スタンダードタイプ・ワイド1/2
「タッパーやお弁当で使うものも、ここにまとめてがさっと入れておけばバラけません」
ポリプロピレンファイルボックス・スタンダードタイプ・A4用
ポリプロピレンファイルボックススタンダード用キャスターもつけられるフタ
子どもスペースには、電動の鼻水吸引機を収納。
「こういった細かいパーツやアダプターなどがあるものは、グルーピングしておいてなくさないように。衛生商品なので、フタをつけています」
ポリプロピレンデスク内整理トレー4
ポリプロピレンデスク内整理トレー3
水谷さん宅のダイニングテーブル後ろの棚は「情報ステーション」と呼ばれ、書類関係ものが全部収納されています。
「仕事や娘の宿題もダイニングテーブルでするので、ステーショナリー類をまとめて収納しています。ラベルシールは、子どもたちが読めるようにひらがなとアイコンで作っています」
上段の左の一つだけフタ付きのものには、折り紙が入っています。こちらはセリアのもの。「そのまま持ち歩けるようにフタ付きにしています」
ポリプロピレン小物収納ボックス3段・A4タテ
同じく「情報ステーション」には、細々したステーショナリーを一括収納。
「ポリプロピレン小物収納ボックスには仕切りがついていて、位置も自由に移動できるので、細かいものをアイテム別に分けるのに、本当に便利。物の場所が決まるだけで、無くしたり探したりすることが皆無になりました」
\ 他のツールも大活躍 /
水谷妙子さん宅「キッチン」収納術
そのほかにも、水谷さん宅には無印良品の収納ツールが家中で大活躍しています。まずは、キッチンまわりの収納術についてお話を聞きました。
こまごましたものが多いキッチン、「気がつくと散らかっている…!」そんな悩みを解決するワザがたくさん!
アクリル仕切りスタンド 3仕切り
コンロ下のフライパン収納は、「立てる収納」と「重ねる収納」で使い分けをしている水谷さん。
「よく使うものは『立てる収納』をしています。立てることで少し手を伸ばせばしゃがむことなくすっと取り出せます。都度しゃがむことを考えると、体の負担も違いますよね(笑)。重ねているものは、丸みのあるものや深さのあるものです。すべて立てるにこだわらず、重ねるほうが取り出しやすいものは重ねています」
ポリプロピレンファイルボックス用・ポケット
ファイルボックスにひっかけることで、こまごましたものを収納できるスグレモノツール。
「細かいものを収納するのにとても便利です。細かいからといって別の場所に置くとアクセスに時間がかかります。同じ用途で使用するものは極力まとめて」
アクリル仕切棚・小
アクリル仕切棚・大
「空間を仕切ってスペースを作る」のに大活躍のこちらのツール。
「食器は、重ねすぎると取り出しにくいしガチャガチャ音がするのも不快ですよね。よく使うものほど、手がとどく下段の手前にまとめています。アクリル仕切棚は、もともとはステーショナリーグッズとして企画されたものなんです。それが家庭のなかでこのように使われ、広まったんですよ」
\ 他のツールも大活躍 /
水谷妙子さんの「子どもスペース」収納
次は、子どもスペース。水谷さん宅では1部屋を3人の子どもたちのアイテムを集約させる「子どもスペース」として使っています。
収納にルールを設けることで、なんと2歳の息子さんにも片付けの習慣が少しづつつきはじめているとか!
ポリエステル綿麻混・ソフトボックス・長方形・中
綿麻混のソフトボックスが、無印良品の棚にぴったりとフィット。水谷さん宅では、ここはおもちゃ収納コーナー。ラベリングでざっくりと分類しています。
「ポイントは『いろいろ』というボックス。入れるときに『これはどこに入れれば…』と迷ったときの逃げ場を必ず作ってくださいね」
ラベリングのコツについても聞きました。
「すぐにテプラなどで意気込んでつくっても、使いにくかったらもったいないですよね。とりあえずふせんやマステや養生テープなどを使って油性ペンで書くで全然OK。一週間使ってみて不都合がなかったら、ラベルを作るのでも遅くありません」
子どもが使いやすくするには、「まずは3〜6個くらいにわかりやすく分類。こどもの様子を観察して、その子に合わせた分類を」だそう。
ポリプロピレンスタンドファイルボックス・ワイド・A4用
子どもたちの絵本の収納には、ファイルボックスを寝かせて使用。
「子どもが自ら、『誰のものか分けたい』といってきたので、3人の子ども別にグルーピングしています。ラベルシールには保育園で使っているマークを採用して、子どもたちがぱっと見わかりやすいような工夫も」
ステンレス横ブレしにくいS字フック・小
一番上のお姉ちゃんの小学校入学にともない、学用品スペースを開設。
「このフックのいいところは2重になっているので横ぶれしないところ。一番下のS字フックには、ランドセルをかけています。この場所だとちょうど棚のバーにランドセルのフタをひっかけられるようになってて、用意しやすいんだそう。これは、娘自らがあみだしたワザです(笑)」
やわらかポリエチレンケース・ハーフ・中
子どもスペースは、すぐに散らかります。何も入れない「お片付け用のボックス」を作り、散らかったおもちゃを集めるのに役立てているそう。
「子どもたちが自らこれを持って、部屋じゅうのおもちゃを集めてきます。やわらかポリエチレンは落としても衝撃が少ないので小さい子どもにも安心です」
散らかったおもちゃをここに入れて、戻すのに便利ですね!
\ 他のツールも大活躍 /
水谷妙子さんの「バスルーム」収納
バスルームにも、無印良品のツールをつかった収納がここかしこにみられました。なかでもこれは真似したい!というものはこちら。
ステンレス横ブレしにくいフック・大 2個入
ドライヤーのコードを巻きつけて収納すると危険なので、水谷さん宅ではこのようにフックを活用して収納。
「このフックは、横ブレしにくいだけでなく、先細りになってかけやすくなっているなど、その構造が考え抜かれているんです。だからこそ愛用者が多いのだと思います!」
アクリル小物ラック
どのお宅でも、気になるのが歯ブラシの収納。水谷さん宅では…?!
「歯ブラシは、小物ラックを利用しています。我が家は家族が多いので、ずらりと歯ブラシを並べるのが嫌で、いかにすっきり見せようかと思い、これに行き着きました。斜めになっているから取り出しやすいんですよ」
\水谷さん的 /
「無印良品」はここが素晴らしい
品質へのこだわり
「常にお客さまの視点で『良品』にこだあり、品質にこだわったモノづくりをしているので信頼がおけます」
いつでも、どこでも、買い増ししやすい
「全国に店舗があるので、買い増しがしやすいところです。ネットで検索もしやすいのもいいですね」
どんなインテリアのテイストにも合う
「とにかくデザインが考えぬかれています。それでいてシンプルで主張しないので、どんなインテリアにもマッチします」
\水谷さんからのアドバイス /
まずは、モノの「整理」をしてみてください!
「昔は、すごく整理収納がニガテでした」という水谷さん。第二子の育休中に「暮らしの仕組みづくり」という整理収納の考え方に出会い、家の中に「整理・収納・片付け」の仕組みをつくるようになってからは、生活がグンと快適になったそう。
とはいえ、一体どこから「暮らしの仕組みづくり」をすればいいの……?!と悩む読者の方々に、アドバイスをいただきました!
「まずは、家にどんなものがあるのか、モノの量をきちんと把握することが大切です。手始めにやるべきことは、『使っているもの』と『使っていないもの』を分ける『整理』から始めてみることをおすすめします」
例えば、洋服だったら春夏秋冬で「一度でも着たか」。着ていないものは処分の対象に。また、クリスマスツリーや雛人形のように、1年に1回だけだけれど必ず使うものは「使っている」に分類するといいのだとか。
「いるか?いらないか?と言われると、人はなかなか『いらない』とはいえないもの。『使っているかどうか』の事実に基づいて、モノを整理していきます」
すぐに収納!と意気込まずに、まずはモノの整理から始めることが、整理収納の第一歩。ここからなら、気負うことなくチャレンジできそうですね。
PROFILE 水谷妙子さん
東京都在住、夫と6歳娘、4歳息子、2歳息子の5人暮らし。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後、株式会社良品計画の生活雑貨部企画デザイン室に13年間所属し、主に、生活雑貨の企画・デザインを行う。機能的なモノづくりをする一方、片付けは大の苦手であったことにジレンマを感じているなか、第二子の育休中に「暮らしの仕組みづくり」という整理収納の考え方に出会い、長年の悩みから解放される。2018年に独立し、「家が整うと、家族も整う」というコンセプトのもとに「ものとかぞく」を主宰。整理収納の知識とこれまでのモノづくりの知識を掛け合わせ、片付けにまつわるオンライン相談サービス、訪問サービス、講座などを行う。
取材・文/松崎愛香 撮影/田尻陽子