便所の案内看板

最近は、生まれてから一度も和式トイレを使ったことがない子も珍しくない時代になってきました。

 

保育園や幼稚園にも洋式トイレはたいてい設置されているので、問題なく過ごせることも多いですが、それ以外の場所では和式トイレしかない環境もまだまだ存在します。

 

あるママは、「来週遠足で行く公園には和式トイレしかないので、お家で練習してきて下さい」と言われましたが、家にも実家にも洋式トイレしかなく、焦っているところです。

 

そして最大の難関ともいえるのが小学校。

 

世間では、いつ初めての和式トイレに遭遇し、どうやって練習したのでしょうか?

 

先輩ママたちの体験談もまじえて見ていきましょう。

子どもの和式トイレ初遭遇はいつ?ママたちの体験談


お子さんが初めて和式トイレを使った場面はいつ・どこだったのか、先輩ママたちに話を聞いてみました。

外出先の公園など

「車で20分ほどのところに、アスレチックなどを備えた大きな公園があり、初めて連れていったら全部が和式で。洋式ではもう1人で座ってできていたのですが、やり方が分からないので、後ろから抱えてさせました」(Wさん・30歳・当時2歳11ヵ月の男の子のママ)

 

「海水浴に行ったら海の家のトイレが和式でした。しゃがんで挑戦したのですが、幅が広くて足を広げてしゃがむのが大変。うしろにひっくり返りそうになるので、必死で背中を支えてなんとかできました」(Mさん・35歳・当時3歳8か月の女の子のママ)

親戚や知人の家

「遠方で法事があり、親戚宅に親子で泊まらせてもらうことに。田舎の旧家なので和式トイレだったんですが、ズボンとパンツをちょうどいい位置に下ろせず大慌て。トイレの前で下を全部脱がして入らせてもらいました」(Iさん・33歳・5歳の男の子のママ)

幼稚園・保育園

「幼稚園の体験入園のときです。旧園舎で遊んでいる時にトイレに行き、荷物を置いて振り返ると、階段状になった和式便座に、後ろ向きに腰掛けている息子の姿が!ギャアア」(Bさん・37歳・当時3歳の男の子のママ)

 

「保育園のトイレは洋式2つと和式1つなのですが、娘はどうしても和式でできなくて。行きたいときに座っても”出ない!”の一点張りで困っています。2~3回もらしてしまったので、今は洋式を使わせてもらっていますが、今後のためにはできるようになっておくべきですよね…」(Fさん・32歳・4歳の女の子のママ)

小学校

「娘が小学校1年になったばかりの頃、帰ってくるとバタバタとトイレに駆け込むことが増え、そんなに行く時間がないのかな?と思っていましたが、ある時帰り道で漏らしてしまったことがあり、泣きながら帰ってきました。学校の和式トイレが怖くて行けず、洋式が空いていない時はいつもがまんしていたそう。その後、練習したり、話し合ったりして、夏休み明けからは和式も使えるようになりました」(Aさん・36歳・当時1年生の女の子のママ)

小学校でのトイレ、和式だけしかないことがあるって本当?


ママたちの体験談にもあるように、小学校では、洋式トイレがない、または数が少ないことがまだまだ多いようです。

 

平成28年の厚生労働省の調査結果によると、全国の公立小中学校の便座のうち、洋式は43.3%、和式は56.7%と、まだ過半数が和式トイレであることが分かります。

 

また、小林製薬の「小学生のトイレ実態調査」によれば、「和式のみ、または和式の方が多い」という学校は、2010年には78%あったのが2018年には44%と大きく減りました。

 

しかしトイレの改修には費用がかかることもあり、依然として「和式のみ」という学校は8%存在します。

 

私立や新設校、建て替えや改修済の小学校では、ほとんどが洋式になっている場合もありますので、入学説明会で確認したり、近所の小学生ママに教えてもらったりしておくといいですね。

家庭では洋式ばかりなのに、和式トイレが消えない理由


家庭では、現在、よほど築年数が古い建物でなければトイレは洋式がほとんどです。 子どもだけでなく、お年寄りや妊婦さんなどハンディキャップのある人にとっても洋式トイレの方が足腰への負担が少なく喜ばれるのに、なぜ商業施設や公共機関には和式トイレが残っているのでしょうか?

 

これにはいくつかの理由が考えられますが、一番大きい理由としては「誰が使ったか分からない便器に肌を触れたくない」という需要があるからだそう。

 

ただ、混雑したデパートやテーマパーク・サービスエリアなどで、和式トイレが空いているのに洋式の個室に列ができている光景をよく見かけることからも、その割合はかなり低いと思われます。 そんな時、子どもが和式トイレをマスターしていれば、おしっこをがまんさせずに済むというメリットもあります。

 

子供が苦手な和式便所

子どもの和式トイレの練習、いつどうやればいい?


幼稚園や保育園に和式トイレがあれば、小学校入学に合わせて練習時間を作ってくれることもありますが、基本的には家で練習しておく方がいいでしょう。

 

和式トイレで用を足したくないという子どもに理由を聞いてみると多いのが

  • こわい
  • うまくできない

というもの。

 

最初はうまくできない子も、慣れれば恐怖感や抵抗感がなくなってきますので、次のような方法で練習してみましょう。

まずはしゃがむ練習から

近年は生活の欧米化で、かかとを床につけて膝を開いた状態でしゃがむ姿勢そのものができない子も増えているそうです。

 

遊びの中で、しゃがんだりカエルのように跳びはねたりする動きを取り入れて慣れていくといいでしょう。

リビングなどで練習

いきなり施設のトイレなどで練習するのはハードルが高い…と思ったら、自宅でシミュレーションしてみましょう。

 

家のトイレはおおむね洋式だと思いますので、大きい紙に和式トイレと同じくらいのサイズのイラストや、足を置くといい場所を描いて、リビングなどで練習するのもいいと思います。練習用のシートが付録に付いた絵本などもあります。

ショッピングモールなどの子ども専用トイレで練習

大型ショッピングモールや支援センターなど、新しい施設にはたいてい子ども専用トイレがあります。和式便座も子どもサイズなので、大人用と比べ練習しやすいのがいいところ。

 

また、照明やインテリアも子ども向けになっているので、きれいで明るい状態で練習しておく方が、いきなり古い公園のトイレに行くより拒否反応が少ないでしょう。

 

ただし順番を守り、長時間占領しないよう気をつけて下さいね。

一回もやってみせたことがないのでは?

先輩ママに聞いたところ、実は、ママやパパが和式トイレで実際に用を足すところを見せるのが一番手っ取り早く覚える…という声も聞かれました。

 

「お出かけした時にあえて和式トイレに一緒に入るといいですよ。子どもは見ているだけでもけっこう理解します!」(Hさん・30歳・2歳の女の子のママ)

 

使用後はレバーで水を流す、可能ならこぼしたところはきれいにするなどのマナーも教えることができて一石二鳥ですね。

機会を見つけて練習を


今後も日本各地のトイレの洋式化は進むと思われますが、和式トイレはお通じに効果的というメリットも報告されているので、便秘気味の時は和式で試してみるという方法が取れますよね。

 

また、万が一の災害などの際、避難先に和式トイレしかないという可能性もあります。

 

できるようになっておいた方が何かと安心なので、未就学児のいるママ・パパは、ぜひ機会をみつけて練習させてあげて下さいね。

 

文/高谷みえこ

参考:厚生労働省「公立小中学校施設のトイレの状況調査の結果について」

小林製薬「小学生のトイレ実態調査2016」 https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2016/161003_01/index.html