「家にいてほしい」と夫に言われ、仕働くことを断念している妻たちはまだまだいます。一方で「それでも私は働きたい」と共働きの道を選んだ妻たちも。夫の収入だけでも経済的には問題ない、なのに働くことを選んだ妻には、お金以外の「働く意味」があるそうです。彼女たちが抱く「絶対に譲れないもの」とは、いったい何なのでしょう?
共働きを反対されている妻たちが働く理由
私のような思いはさせない(あかねさん/33歳/事務)
貧しい家庭で育った私は、小さい頃から我慢の連続でした。友だちがみんな持っていたゲームは買ってもらえず、憧れのピアノは習えないまま。希望の大学は受験することもできず「お金持ちの家に生まれたかった」と、何度思ったかわからないほど。 そんな経験があるため、出産前から「子どもには絶対そんな思いをさせない」と心に決めていました。興味があるものはどんどん学ばせ、望む進路に進ませてあげたい。そのためにも、十分な「教育費」を用意したいんです。 旦那の収入だけでも生活はできますが「もし私立の医学部に行きたいと言われたら」「塾や予備校のお金も…」と考えると、まだまだお金は足りません。 「俺の給料だってこれから上がるかもしれないし、家にいてほしい」と旦那は言いますが、確実に昇給するかなんて誰にも分からないもの。だったら私も働いて、子どもの選択肢の幅を広げたい! これが私の考え方です。
ズバリ、離婚準備です(たえこさん/34歳/看護師)
授かり婚だった私たち。出産を機に退職したのですが、実際に一緒に暮らしてみると「旦那の気性の荒さ」を目の当たりにして、驚くばかりの日々でした。気に入らないことがあればすぐに怒鳴る、生活費を渡さずに遊んでばかり。 私がちょっとでも文句を言えば「働いていないくせに口ごたえするな!」と怒鳴る。そのくせ「お前は俺が養ってやる」と、共働きを認めてくれませんでした。きっと、自分に服従させたいんでしょうね。 そして子どもが1歳になったのを機に、旦那の反対を押し切って、私は仕事を始めました。働く理由はただひとつ…旦那とさっさと離婚したい。 でも旦那には「一日じゅう子どもとふたりきりだと、息がつまりそうだから働いているだけ」と説明しています。いまのうちにしっかりお金を貯めて、経済的に自立できるようになったら離婚届を突きつける予定です。 私ひとりでもちゃんと子どもを育てられるよう、離婚という名のゴールに向かって働き続けます!
生活水準を維持するため(おとはさん/35歳/営業)
旦那はもともと「子どもが生まれたら専業主婦になってほしい。そのぶん俺が稼ぐから」と言っていました。仕事を続けることにこだわりがなかった私は、軽い気持ちで承諾し「妊娠したら退職するね」と言って仕事を続けていたんです。 2馬力で働いている間は、正直かなり経済的に余裕がありました。年に1度は海外旅行に行って、週末はおいしいディナーを食べる。スーパーでは値段を気にせずカゴに入れ、料理する気力がないときは出前のお寿司…なんて生活でした。 そして結婚から2年、妊娠が分かり「じゃあ約束どおり退職だね」と旦那に言われたのですが…いままでの暮らしは、私が働いていたからこそできるもの。これから旦那の収入だけとなると、年に1回の国内旅行がやっとのレベルです。 子どもには好きなブランドの服を着せたいし、いろんなおもちゃも買ってあげたい。いまさら節約生活なんて無理。そう思った私は、自分に染みついた生活水準を守るために退職を断念。産休育休を取得した末、復職を果たしました。
大切なものを守るために妻たちは働いている
働くことの理由は人それぞれですが、明確な目的を持って働いている彼女たち。共通しているのは、自分が働いて稼いだお金で「大切なもの」を守ろうという強い意志でした。反対を押し切ってまで行動を起こす意味とは、「自力で稼ぐことで自分の意思を貫く」ことなのかもしれません。
ライター:鈴本ちさこ
元ナンバー1キャバ嬢。会社経営者との結婚を機に引退し、自身の恋愛経験を書いてほしいと、依頼されたことをきっかけにライター活動を開始。某有名恋愛ライターのゴーストとしても活動している。ずれた金銭感覚で、ママ友ができないのが悩みの種。