ハイハイをする赤ちゃんの姿はとてもかわいいものですよね。
でも、わが子がなかなかハイハイしなくて少し心配している人もいるかもしれません。
今回の記事では、赤ちゃんがハイハイする時期や、ハイハイしない赤ちゃんはその後どうなるのか、練習はした方がいいのか…といった疑問について考えてみます。
目次
生後何か月頃からハイハイできる子が多い?
母子手帳の「保護者の記録」では、「はいはいをしますか」という質問が、生後9~10か月のページで出てきます。
必ずしも10か月までにできなければいけないという意味ではないのですが、この時期までにハイハイをする子が多いことは分かります。
ハイハイといっても、両手とひざを交互に出して進む典型的なハイハイをする子ばかりではなく、最初のうちは腹ばいでお腹を床につけたまま進む「すりばい」や、片膝だけついて進む子、歩き始めが近づくと膝をつかない「高ばい」を始める子など、さまざまなハイハイのパターンがあり、ハイハイする期間もその子によっていろいろです。
ハイハイは全身の筋肉を使うため、ハイハイできるようになった赤ちゃんはそれまでと比べて運動量がぐっと増え、離乳食をよく食べるようになったり、夜ぐっすり眠るようになったりすることも。
後追い時期、ハイハイできない赤ちゃんはどうしてる?!
この生後9~10か月の頃は、ちょうどママの姿が見えなくなると泣き出したり、どこへでも付いてこようとする「後追い」の時期でもあります。
必死でママを追いかけることで、さらにしっかり早くハイハイできるようになる子も多いですが、ハイハイしない赤ちゃんの場合はどうでしょうか?
ママたちに聞いてみると、「ひたすらその場でお座りして泣いてました…」「あおむけで、背面を使って移動していました。頭上が見えないので壁にぶつかって泣くことも度々」とのこと。
想像するとかわいいですが、ママはちょっと大変そうですね。
おしりで進む「シャフリングベビー」って?
時々、ハイハイを一切せずに歩いたという子がいますが、その中には「シャフリングベビー」と呼ばれるタイプの子もいます。
おすわりの姿勢から、おしりを浮かせて跳びはねるように前に進む赤ちゃんの姿は、どの子にも一時期はみられるもの。
ただ、「シャフリングベビー」の場合、おしりで移動する状態が数か月以上続くほか、次のような特徴がみられます。
- うつぶせ寝を嫌う
- 首座りや寝返りなど、ハイハイの前段階までは平均的に発達
- 抱えて立たせようとすると、足を持ちあげて地面につくのを嫌がる
そして歩き始めるのは平均よりはやや遅くおおむね1歳半から2歳ですが、ほとんどの子はそこからは普通に歩き、周りとの発達の差は見られないそうです。
歩けるようになった後にハイハイを始める子も多く、ママは「いま?」と思うそうですが、なぜそうなるのかはまだ解明されていません。
両親や身内にシャフリングベビーだった人がいる確率が高いため遺伝的な体質だとも、欧米の赤ちゃんに多いことから、すべりのいい床と畳の違いなど生活環境によるものだともいわれています。
なお、「シャフリングベビーには発達上の問題や疾患がある」といった情報も見かけますが、すべての子に当てはまるわけではなく、下記のような様子がみられ、なおかつシャフリングがあるときは念のため受診した方が良いといわれています。
- 首がぐらぐらする
- 低緊張(体や手先に力が入らない)
- ことばの理解が遅いように感じる
- ミルクをあまり飲まない
- 泣き方が弱い、ほとんど泣かない
ハイハイしない子は筋肉や骨格が成長しない?
検診時や祖父母世代から「ハイハイが足りないとすぐ転ぶ」「ハイハイしないと足腰や背筋などがちゃんと発達しないから、しっかりハイハイさせるように」等と言われたことのある人も多いかもしれません。
そう聞くと、あまりハイハイしたがらない赤ちゃんのママは心配になってしまいますね。
そこで、お子さんが赤ちゃん時代あまりハイハイしなかったというママや、反対に長い間ハイハイしていたというママから、現在のお子さんの様子を聞いてみました。
「長女は10か月でやっとズリバイを始めましたが、そこから2か月間にあっという間にハイハイ→つかまり立ち→伝い歩きとすすんで1歳ちょうどに歩き出しました。次女は7か月頃から長いことハイハイして、同じく1歳で歩き始め。いま二人は小学生ですが、どちらかというと長女の方がかけっこも鉄棒も得意ですよ」(Uさん・40歳・6年生と4年生のママ)
「4000g近くで生まれた息子は、ずっと成長曲線のかなり上の方を推移していて体が重いのか、寝返りも遅く、うつぶせにすると身動きが取れなくて泣き出す始末。おすわりは安定してできていましたが、支援センターなどで身軽にハイハイしてどこへでも行く他の子がうらやましかったです。今は幼稚園に通っていて、相変わらず体は大きい方ですが、そんなに走り回るのは好きじゃないみたい。おっとりしているので、性格的なものかもしれませんね」(Nさん・36歳・5歳の男の子のママ)
「うつぶせが嫌いで、5か月頃からおすわりが一番機嫌がいいので、どうしても家事を片付けないといけない時などはいつもおすわりさせていました。欲しいものをハイハイして取りに行くのではなく、声をあげて知らせてくるので、さすがにちょっと練習しなきゃと思い、抱えてハイハイさせてみたりしましたが、手を離すと泣き出すのでなかなか進まず…。結局、あまりハイハイせずに1歳2か月で歩けるようになりました。3歳の今も、特に骨格や運動能力に問題はないです。むしろ運動は得意な方だと思います」(Hさん・33歳・3歳の男の子のママ)
「ハイハイ長かったですよ!生後7か月から1歳3か月まで、8か月近くもハイハイしていて、かなり高速で進めるので、もう歩かないんじゃないかって思ったぐらい。歩き出したら周りの子の中で一番足は速かったですが」(Eさん・31歳・2歳の女の子のママ)
「シャフリングベビー」の場合も含め、ママの話を聞いた限りでは、成長後の筋肉や骨格・運動能力などはハイハイの有無よりもその子の性格や生まれつきの要素の方が強く関係しているようにも思われます。
ただ、本人がハイハイしたがらないのではなく、部屋に物が多くせっかくハイハイしている赤ちゃんがすぐつかまり立ちしてしまうような場合は、児童館や支援センターなど広い場所にできるだけ出かけ、思いきりハイハイさせてあげましょう。
ハイハイできない子は練習した方がいいの?
いろいろ働きかけてもハイハイしない子に無理強いする必要はないですが、少しママやパパが手を貸したり練習したりすることでハイハイできるようになれば、赤ちゃんも世界が広がって楽しいかもしれません。
ハイハイの練習には、次のようなことが有効だといわれています。
- おすわりで、片手を伸ばせば届く距離に興味を引くようなおもちゃを置き、少しずつ離していく。取ろうとして、床に手をついた姿勢になるのがねらい。
- うつぶせが嫌いな子には、丸めたタオルなどを胸の下に入れて、上半身が少し持ち上がった形にしてみる。そのまま、少し離れた位置から赤ちゃんを呼んでみる。
- ハイハイしている子たちの中で遊ぶ。赤ちゃんは模倣によって新しい行動を身につけていくので、他の子がハイハイしている姿を見せると真似ようとする。ママやパパがやってみせるのも良い方法。
なお、ハイハイしかけの頃は体が支えきれずぺちゃっとつぶれて顔を床にぶつけたり、おもちゃを取ろうとして片手を持ち上げた拍子に転がってしまう子もいるので、柔らかい敷き物の上などで練習するのがおすすめです。
無理せず、ちょっとした工夫を日々取り入れていけるといいですね。
ハイハイする時期のまとめ
昔から「這えば立て、立てば歩めの親心」と言われるように、赤ちゃんの成長を待ち望む親としてはどうしても「ハイハイはいつ」「歩くのはいつ」と先を急いでしまいがち。
でも、大きく心配な点がないのであれば、赤ちゃんの成長段階は1人1人の個性を尊重するのが一番。今のかわいい姿も楽しみながら見守っていきたいですね。
文/高谷みえこ