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現在日本は男女が平等に活躍できる社会になろうとしていますが、妊婦さんに寄り添う“助産師”の場合は例外。現状助産師の国家試験を受けられるのは女性だけとなっています。そんな中ネット上では、“男性助産師”の是非を巡って議論が勃発していました。

男性助産師はあり? なし?


今年4月にネット掲示板で、とある女性が助産師についての問題を提起。よく男性が助産師になれないことを「差別」と問題視する人もいますが、同ネットユーザーは「差別だとは思わない」と主張しています。

 

助産師の仕事は赤ちゃんを取り上げるだけでなく、授乳の指導やライフサイクルに関する保健指導、妊婦さんの体調管理など様々。出産に不安を抱える女性の相談に乗ることもあり、“出産・妊娠”の全般に関わる職業と言っても過言ではありません。

 

そのため今回の書き込みについても、賛同する女性が多数。「いくら男女が平等な社会になっても、助産師だけは手を入れたらいけない領域」「これは差別ではなく区別」「母乳マッサージとかを男性にお願いしたくはない」「妊婦が少しでも安心できる環境を作るためには、男性助産師は不要」「なんでも男女で同じことをさせるのが平等だとは思えない」といった意見が寄せられていました。

 

また産婦人科医は男性の場合も多いですが、「医師と助産師さんは全然役割が違う。産婦人科医は男性でもいいけど、助産師さんは絶対女性がいい」という声も。やはり医療行為を担当する産婦人科医と比べても、助産師は特殊な職業のようです。

 

海外で活躍している男性助産師


一方で男性助産師を許容する人もおり、「選択肢としてはあってもいいのでは? 自分は選ばないと思うけど」「助産師を患者が指名できるなら男性助産師も賛成」「助産師ってずっと人手不足なイメージだし、人材確保のために必要なことでは?」「あまり女性のプライベートに関わらない分野は男性に任せたり、しっかり業務を分けてくれるならあり」といった声が。条件つきで男性の助産師を認める人も少なくありません。

 

実際に海外では、男性助産師が活躍している地域もある模様。「国境なき医師団」の公式サイトでは、男性助産師・ロイドンさんの活動が紹介されています。彼が助産師として奮闘している南スーダンは、日本よりも男女の別がはっきりとしている国。そのため妊婦さんたちの中には男性助産師を見てぎょっとする人も多いそうですが、ロイドンさんは「妊婦さんの立場になって考えるんです。“私は男性で向こうは女性”という考え方はしません。できる限り理解を得ようと努めています」と語っていました。

 

またイタリアやドイツなどヨーロッパでも、男性助産師として働いている人が。しかしそのような実例を踏まえても、「海外はどうあれ、日本の社会では受け入れられないでしょ」「そもそも文化が違うし、海外の例はあまり参考にならないような…」と反対する人は多いようです。

 

日本における“助産師”の歴史


そもそも日本で“助産師”という仕事は、どのような歴史を経て今のような形になったのでしょうか。「公益社団法人日本看護協会」の公式サイトによると、平安時代には中宮や女御のお産を補助する“腰抱”という女性たちがいたとのこと。その後江戸時代初期には“取上婆”“子とり”という女性たちが活躍し、江戸時代中期には“産婆”と呼ばれるように。“助産婦”に改称されたのは太平洋戦争のさなかで、医師や歯科医師、薬剤師などと同じように医療関係者として規定されました。

 

しかしそんな長い歴史の中でも、“女性のみ”という不文律は変わらないまま。新たな令和の時代で、今後男性助産師の誕生はあり得るのでしょうか。

 

文/内田裕子