education201904

寝返りができるようになったばかりの赤ちゃんが、ちょっと目を離した間にコロリとうつぶせになり、元に戻れずに泣いていることがありますよね。

 

泣いてくれればまだ良いのですが、自力で顔を上げることができない赤ちゃんがそのまま窒息でもしたら大変。

 

急ぎの家事があるときや夜中など、ずっと様子を見ていられない場合、クッションなどで寝返りを防止しているママも多いことと思います。

 

ただ、そのクッションや枕が逆に危険だという話を聞いたことはありませんか?

 

今回は、「寝返り防止クッション」の危険性について、ママの体験談・国から出ている注意喚起などもまじえて考えてみます。

目次

「寝返り返り」ができるまでの赤ちゃんはとても危険?!


寝返りした状態から、赤ちゃんが自力で元に戻ることを「寝返り返り(がえり)」といいます。

 

これができるようになるまでは、赤ちゃんはちょっと目を離すとうつぶせの姿勢から戻れずに泣き出したり、無言でもがいていたりしてママやパパを驚かせます。

 

この時期、窒息が心配なので、クッションや枕・ぬいぐるみなどで赤ちゃんが転がらないように支えておきたくなりますよね。

 

三角や筒状のクッション材が両脇についた専用の寝返り防止クッションや枕も市販されていますが、これを乗り越えてしまったり、上下に移動したあとで寝返りしてしまったりする子もいて、正しく機能しないことがあります。

 

「どうやったのか分かりませんが、本来なら枕に当たって回れないはずなのに、朝起きると同じ位置で器用にうつぶせになって寝ていたことがあります」(Tさん・30歳・0歳児のママ)

 

「夜中に何回も何回もうつぶせになっては戻れずに泣くので、睡眠不足で明日の仕事(車の運転含む)に差し支えると思い、バスタオルを筒状に丸めて子どもの脇に挟んでおきました。2~3日はうまくいったのですが、ある日、ふと目覚めるとバスタオルが広がり子どもの顔に巻き付いていて。気付くのが遅かったら窒息していたかもしれません」(Jさん・32歳・1歳児のママ)

 

「初めて寝返り防止クッションを使ってみたとき、気になってずっと横で見ていたのですが、真横に寝返りできず斜めに転がって見事にクッションに顔をつっこんでしまいました。それ以上動けずに泣き出したので元に戻しましたが、夜中で、子どもも私も眠っていたら気づかない可能性もあるな…と少し怖くなりました」(Sさん・28歳・0歳児のママ)

 

うつぶせ寝による窒息を未然に防ぐか、クッションや枕で逆に窒息する危険を防ぐか…どちらを優先させるのかはとても悩むところです。

 

寝返り防止枕やクッションには国から注意喚起も


現在、国で赤ちゃんが寝るときに推奨しているのは次のような環境です。

 

  • できるだけベビーベッドを使用
  • 軽い掛け布団は軽いもの
  • 顔が埋まらない固めの敷き布団や枕を使用
  • 1歳になるまでは寝かせる時はあお向けに

 

市販の「寝返り防止クッション・枕」に関しては、2010年(平成24年)9月、米国消費者製品安全委員会(CPSC)と米国食品医薬品局(FDA)より、アメリカ国内で過去13年間に12件の死亡事故が起きていることから、使用を控えるように注意喚起がありました。

 

これを受け、10月には日本でも消費者庁から同様の枕の使用には十分注意するよう国内向けに通知がされています。

 

最近では、2017年に英国の多くの販売店が寝返り防止クッションの取り扱いを廃止しました。

 

ただ、今のところ日本では寝返り防止クッションによる死亡事故は報告されておらず、あくまで「注意して使用してください」という周知にとどまっています。

 

ベビー用品の大手チェーン「西松屋」は、自社のホームページで

赤ちゃんの寝返りを防ぐための「寝返り防止クッション」というアイテムが販売されていますが、こういったアイテムの使用はあまりおすすめできません。このクッションによってうつぶせになるのを予防することは可能ですが、クッション自体が窒息の原因になる恐れがあります。

と明記していますが、これは少数派かもしれません。

 

インターネットのベビー用品通販では、色々なショップで2019年現在でも「寝返り防止クッション」が普通に購入できます。

 

アメリカではベビーベッドのリコール事件も


2019年4月、アメリカの大手ベビー用品メーカー「フィッシャープライス」社は、自社の電動ベビーベッドでこれまでに30人以上の赤ちゃんの死亡事故が起きていることが分かったとしてリコールを発表。日本のニュースでも放送され話題になりました。

 

ただ、使用上の注意には「3か月以上の赤ちゃん対象」「寝返りができるようになった赤ちゃんには使えません」「使用する際はウエストのベルトで固定してください」とあり、事故が起きたのはベルトをしていなかった例が多いということ。

 

実際、早い子は3か月でも寝返りができるようになりますし、まだ寝返りできないと思っていても、ある日突然できるようになるのが赤ちゃんというもの。

 

ベビーベッドに限らず、育児グッズは使用上の注意を必ず守る必要があります。

SNS発、寝返り防止グッズとは


SNSでは、「ペットボトルにタオルを巻いて体の脇に置いておくと寝返りを防げる」という現役ママからのアイデアも。

 

丸い形のペットボトルなら、カーブがありクッションより固いため鼻や口をふさぎにくいですし、お金も場所もかからずに済むとママたちからは好評のようです。

 

ただし、キャップがゆるんで水浸しになったり、キャップの誤飲、タオルがほどけて赤ちゃんの顔や首に巻きつく…などの事故を避けるため、キャップはしっかりと締め、タオルはヘアゴムなどで固定するといった安全確認は必須。あくまで自己判断でおこなってください。

 

寝返り防止のまとめ


寝返りが始まると赤ちゃんから目が離せない日々が続き心配ですね。

 

ただ、たとえばお皿を洗う間など少しだけ寝返りしないでいてほしい…という時に、赤ちゃんが見える状態で寝返り防止クッションを使用するのは問題ないのではないでしょうか。

 

また、寝返り練習中の赤ちゃんとママやパパが一緒に寝転んで遊んであげることで、早く自力で元に戻る術を身につけるかもしれません。

 

しばらくは大変ですが、赤ちゃんが寝返り返りできる日まではそう遠くないはず。できるだけ危険のない環境を整えて乗り切ってくださいね。

 

文/高谷みえこ

参考:消費者庁「0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!」平成26年10月 

フィッシャープライス社 ”Fisher-Price Recalls Rock ‘n Play Sleepers Due to Reports of Deaths(死亡事故報告による商品リコールのお知らせ)” https://www.cpsc.gov/Recalls/2019/fisher-price-recalls-rock-n-play-sleepers-due-to-reports-of-deaths