iDeCoで注意したい3つとは?
ここまで税制優遇についてお伝えしてきましたが、iDeCoを始める上では以下の3点に注意しましょう。
①手数料がかかる iDeCoは専用口座を開設する時と、運用を維持する間に、それぞれ手数料がかかります。 口座開設手数料が安い金融機関でも2,777円、毎月拠出する場合は年間で2,004円以上かかります。2018年からは年払いも選べるようになったので、月払いに比べると拠出する際の手数料は抑えられるようになりました。 拠出する金額は手数料との関係も考えながら決めましょう。
②60歳まで引き出せない&原則、途中解約できない NISAやつみたてNISAはいつでも現金化してやめることができますが、iDeCoは原則60歳になるまでお金を引き出すことも解約することもできません。また、加入期間が10年に満たない場合は受給開始年齢が後ろ倒しになります。 拠出金額は年に1回だけ変更できますが、最低でも月5,000円以上と決まっています。拠出をお休みすることもできますが、その間も月64円~の手数料負担は続きます。節税の手厚さは魅力的ですが、あくまでもセカンドライフを充実させるための資金なので、日々の生活費や当面の費用についてしっかりと考えた上で利用するかを慎重に考えましょう。
③運用次第で減ることもある 投資信託を活用する場合は、拠出した額よりも減る可能性は伴います。元本確保型の定期預金や保険などを選んで、減税効果だけを受け取るという考え方もあります。
年末調整または確定申告が必要です
せっかく税制優遇が受けられるのに、それを申告しなければお金は戻ってきません。会社員や公務員であれば、年末調整が必要です。iDeCoを統括する国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届くので、会社などから渡される「給与所得者の保険料控除申告書」に金額を記載の上、証明書を添付して提出しましょう。iDeCoを始めた月が11月以降の場合は証明書の到着が年末調整に間に合わないことがあるので、自分で確定申告をする必要が出てきます。 自営業の方は、例年通り確定申告する際に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載された金額を記入し、証明書を添付して税務署に提出しましょう。
風呂内さんは、iDeCoを始める目安として、「預貯金が500万円以上あること、もしくは45歳」といいます。iDeCoは、NISAやつみたてNISAと併用して運用できるので、まずはNISAなどを試しつつ、長期的にはiDeCoで老後資金対策を検討するのがよさそうです。
PROFILE 風呂内亜矢(ふろうち あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会委員、一般社団法人みんなで作る良い行政サービス協会 主任研究員。大手電機メーカー系SIer、マンションの販売会社勤務を経て2013年にファイナンシャルプランナーとして独立。現在、テレビやラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。著書に『超ど素人がはじめる資産運用(翔泳社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』などがある。
文/田川志乃 イラスト/加藤淳一