育児休業を終えて職場復帰が近づいたり、赤ちゃんの離乳食が進みそろそろ食事から栄養がとれるようになってくると、「断乳」を考え始めるママが増えてくることと思います。
でも、こと授乳に関しては、赤ちゃんとママそれぞれの個性によってやりかたは千差万別。必ずこうしなければいけないという決まりもありません。
それだけに、いざ自分が断乳しようと思うと、いったいどう進めればいいのか迷ってしまいますね。
今回は、過去に断乳を体験した先輩ママたちから、失敗談をふくめ、おすすめの方法や時期などをアドバイスしてもらいました。
目次
断乳のきっかけ・理由は?
最近よく言われるようになった「卒乳」とは、赤ちゃんが欲しがるうちは母乳を与え、自然に飲まなくなって卒業すること。
「断乳」の場合は、「自然に欲しがらなくなる」以外に何らかの理由があって母乳をやめることになります。
その理由・きっかけとは、おもに次のようなこと。
- 母乳が出なくなった
- 授乳が負担でママの体力が持たない
- 復職で昼間の授乳ができなくなるのに合わせて
- 他で栄養が取れるようになり、惰性で飲んでいるように思えてきた
- ママの入院・手術・服薬
- 第2子・第3子を妊娠した(または妊活をスタートした)
もちろん、「もう母乳がなくても栄養はとれるが、スキンシップのために欲しがるうちは飲ませたい」とママが考えるのであれば続けて構わないという考えがいまは主流ですし、授乳中でも飲める薬もありますので、必ずしも上記の条件に当てはまったら断乳が必要というわけではありません。
断乳の仕方はいろいろ
断乳とひとことでいっても、「〇か月から〇か月の間に、何日以内に完了させなければならない」というものではなく、いろいろな形があってOK。
ただ、大きく分けて、数日から一週間で完了させる「短期集中型」と、1週間以上かけてゆっくり進める「長期型」があるようです。
|短期集中型の代表的な断乳の仕方
職場復帰の日程が迫っている場合や、ゴールデンウイークなど限られた期間に夫婦で協力して取り組もうという場合は、短期集中型の断乳を選ぶ人が多いようです。
実際に3日間で断乳に成功したママは次のようにすすめたそう。
「理解できるかどうかはともかく、子どもには事前に言い聞かせておきました。助産師さんのアドバイスどおり、当日の朝は欲しがるだけ飲ませて、そのあとはいくら泣いても”もうないよ””バイバイしたの”と言って飲ませないようにしました。初日の夜は声がかすれるほど泣いてかわいそうでしたが、3日目から離乳食をよく食べ、夜もよく寝るように」(Sさん・28歳・当時10か月児のママ)
よく出ている母乳を短期間で止める場合、乳腺炎など、ママの乳房トラブルには要注意です。助産師さんによるケアを受けられると安心なので、事前に相談できる産院や助産院の情報を集めておくといいですね。
|長期型の断乳の仕方
卒乳まで気長には待てないが、比較的時間にゆとりがあり無理せず母乳から移行したい…という場合、次のような方法で少しずつ母乳を減らしていく人も。
- 1回の授乳時間(飲む量)を減らす
- 授乳間隔を空ける
- 夜だけ母乳をやめる(または昼だけやめる)など
この方法だと、乳房の張りや痛みなどのトラブルは比較的少ないようです。
そうしているうちに赤ちゃんが自然と飲まなくなる「卒乳」になることもあり、数日とはいえ、泣き叫ぶ赤ちゃんを見て辛い思いをしなくてもいいというメリットもあります。
その反面、きっぱり止めるのに比べると、赤ちゃんが母乳をもっと欲しがるのに負けて延期…となりやすい面もあるようです。
先輩ママに聞く、断乳におすすめの時期は?
”欲しがらなくなった時がやめどき”と考えると、どの子にも通用する断乳のおすすめ時期というのはないのかもしれません。
ただ、ママ側の体調で断乳する場合は別として、赤ちゃんの様子を見て「そろそろ」と考えるなら、次のような点で準備が整っていることが必要だといわれています。
- 3回の食事と2回の補食で栄養がとれている
- コップで飲み物が飲める
- 1人で立ち(または歩き)、外遊びがしっかりできる
少なくともこの状態になる時期と考えると、10か月~1歳前後からではないでしょうか。
さらに、先輩ママによれば、次のようなことも留意すると赤ちゃんに負担が少なく、おすすめだそう。
- 体調がいい時を選び、風邪やおなかの調子が悪ければ延期する
- 親子とも睡眠不足や栄養の偏りによる風邪や感染症が気になるので、真冬は避けた方がいい
- 母乳以外の飲み物をあまり飲まない子の場合、水分不足になりやすいので真夏を避ける
- 母乳のかわりに遊びの時間をたくさん取れる時を選ぶ(自営業の繁忙期、引っ越し、上の子の入学前後などバタバタする時期を避ける)
パパにもできる!断乳中と断乳後の寝かしつけテク
授乳しながら寝かしつけたり、夜泣き対策に添い乳や授乳をしているママも多いことと思います。
ただ、歯が生えてから授乳での寝かしつけを続けていると虫歯になりやすいという懸念があります。成長とともに、食事(授乳)は起きている時だけにして、歯やお口をきれいにして眠るという生活習慣をつけていきたいですね。
また「寝かしつけ=母乳」状態だと、ママ以外赤ちゃんを寝かしつけることができず、ママが体調不良や疲れている時、外出したいときなどにパパは寝かしつけに困ってしまいます。
断乳後、ママ・パパが協力して寝かしつけができるように実行していた寝かしつけテクニックや失敗談をいくつか紹介します。
「少し何かを飲むと落ち着ようだったので、ストロー付きのマグにお茶を入れ、大泣きした後にお茶飲む?と差し出すと、眠りに入るきっかけになるようでした」(Uさん・29歳・当時1歳3か月児のママ)
「夜の授乳が1日おき、2日おきになったり数日続いたり…という感じになってきたので、寒い時期ということもあり断乳を決意。あまり寝かしつけで泣くことはなかったですが、授乳がないとなかなか寝るスイッチが入らないのか、電気を消してもなかなか寝ないので、夫婦で寝たふりをしてみました(笑)。最初だけ起こそうとゆすってきましたが、数日で自分も布団に入って寝るように」(Kさん・36歳・当時1歳4か月児のママ)
「育休を続けて取得し、できるだけ早く職場復帰するために、二人目を早めに作ろうと計画。上の子が8か月頃から断乳しようとしましたが、あまりにも泣き、吐いてしまうし熱も出すし…かわいそうになり延期してしまいました。最短で二人目ができても復帰は数か月遅れますが、あと少しだけ親子水入らずで過ごそうと思います」(Fさん・30歳・9か月児のママ)
「妻の職場復帰1か月前に断乳しようと決めました。夜中に泣きやまないとき、目の前にママがいるのに母乳がもらえないのでは子どももつらいだろうと思い、夜は僕が抱っこして寝るまでゆらゆらする役目。いままでの習慣を180度変えるのだから最初からうまくいくと思わず泣かれるのを覚悟していたので、数日で終わってホッとしました」(Tさん・32歳・当時1歳児のパパ)
「断乳」のまとめ
断乳を決めるきっかけや理由にはいろいろありますが、赤ちゃんがママやおっぱいを求めて泣く姿を目の当たりにすると、延期してしまった時はもちろん、無事成功しても、これでよかったのかなと迷うことがあるかもしれません。
しかし、よく考えて決めたことであれば、「間違いかも…」と思うより、その時間でたくさん外で遊んだり、夜ぐっすり眠れるぶん元気な笑顔で接してあげたり、授乳のかわりにできることを考えるのが一番。
その子とママ・パパにとってベストな断乳の時期とやりかたが見つかるよう、今回の記事もぜひ参考にして下さいね。
文/高谷みえこ