グズって泣く赤ちゃん

毎日一生懸命向き合って育てているはずなのに、ここのところ何をしてもグズグズ不機嫌。今まで人見知りもせずニコニコだったのに、急にママにべったりで離れず、家事ができなくてイライラ。そんな赤ちゃんのようすに困ったことはありませんか?

 

「私の育て方が間違ってる?」

「どこか体の具合が悪いの?」

 

と心配になってしまいますが、最近、そんな赤ちゃんのグズグズに「メンタルリープ」と呼ばれる、脳や知能の発達に伴うサイクルが関係しているという説が話題になっています。

 

今回は「メンタルリープ」とは何なのか、どうして赤ちゃんがわけもなくグズグズするのか…を、書籍や研究などをもとに解説します。

目次

「メンタルリープ」とは、「知能の成長期」?!


「メンタルリープ」は、オランダのF.プローイュ博士(発達心理学、行動生物学)とH.ヴァン・デ・リート博士(教育心理学、自然人類学)夫妻が共同で研究を進め出版した育児書『The Wonder Weeks(邦題:不思議な週齢)』で提唱された現象です。

 

F.プローイュ博士が35年以上にわたり赤ちゃんとママの行動や反応のデータを収集・観察した結果、特定の時期に「赤ちゃんが急に扱いにくくなった」という報告が集中して寄せられることに気づき、その週齢を一覧にしました。

 

すると以下のようなことが分かってきたといいます。

 

  • 赤ちゃんは生後20か月のあいだに、やけに手がかかる(グズグズする)時期が10回ある
  • この時期には、「よく泣く」「機嫌が悪い」「ママから離れようとしない」という行動が目立つ
  • この時期が過ぎると、今までできなかったことができるようになり、急激な知能の発達が見られる

 

博士はこの「グズグズ」と「知能の急発達」がセットになった期間を「メンタルリープ」と名付けました。

 

1~2週間は前後することはあっても、ほとんどの赤ちゃんが同じころにこの「メンタルリープ」を経験するといいます。

具体的には、出産予定日から数えて、 5・8・12・19・26・37・46・55・64・75週がそれに当たるそう。

 

現在では、このデータを利用して、出産予定日を登録すると、そろそろメンタルリープに突入する時期になると知らせてくれ、適切な接し方などのアドバイスが読める無料アプリも公開されています。

 

赤ちゃんが泣き止まない原因が「メンタルリープ」って本当?


でも、どうして知能の急発達に先立って、上のようなグズグズ期が訪れるのでしょうか?

「うちの子、そんなことなかった気がするけど?」と思うママもいるかもしれません。

 

実は、赤ちゃんもメンタルリープの時期はほぼ一定ですが、どのような形で現れるかはその子の性格や環境などで大きく違うことも分かっています。

以下がその例だと言われています。かなりたくさんありますね。

 

  • よく泣く、なかなか泣き止まない
  • イライラと不機嫌で、どうあやしても機嫌が直らない
  • ママにべったりで離れようとしない
  • ミルクや母乳を飲まない、食欲が落ちる
  • 夜泣きする、昼寝してもすぐ起きる
  • できていたはずのことができなくなる
  • よく熱を出したり風邪をひいたりする

 

これらは他の原因、例えば歯の生え始めでムズムズするとか、あせもやアトピーなどの身体症状、蒸し暑い気候などが原因のこともありますが、メンタルリープ時期と重なることでさらに機嫌が悪く、扱いにくくなるといわれています。

 

また、一般的には、のんびりおおらかな子より神経質で感覚の鋭い子の方が、メンタルリープ特有の行動が強く出るともいわれています。

 

おしゃぶりをした赤ちゃん

 

「メンタルリープ」の時期、赤ちゃんには何が起こっている?


ママにとっても大変な毎日ですが、この時期、赤ちゃんの脳内では大きな変化が起こっているそう。

「知能の発達」とはつまり、推定百数十億の神経細胞がお互いに情報伝達をするために、神経回路を組み替えたりつながりあったりするプロセスをいいます。

 

そのスピードや変化ぶりは、当然大人とはケタ違い。

赤ちゃんにとって、今まで見えていた世界や価値観がひっくり返るような体験だと言われます。

 

大人になってしまってからではなかなか理解しにくい話ですが、たとえば、自分が「ある日とつぜん言葉も生活習慣も違う外国に連れてこられた」と想像してみると、不安になったり、家族を頼りたくなったり泣き出したり…とてもご機嫌ではいられない精神状態だというのは分かるのではないでしょうか。

 

しかし、この段階が過ぎれば、赤ちゃんは知能面で一段階上へと成長して、ママの言葉を理解したり、犬を見て「ワンワン」と指さしたり、いろいろなことができるようになります。

 

この流れを知っていれば、ママの方も必要以上に心配したり、いろいろ工夫しているにも関わらず改善しなくてイライラしたり…ということが減り、育児がラクになります。

赤ちゃんの側も、不安な気持ちやイライラしながらお世話をされるよりも、「今はその時期だから見守ろう」と思いながらお世話される方が良いのはもちろんですね。

 

実際に、メンタルリープを意識して接した赤ちゃんには、次のような特徴がみられるそうです。

 

  • グズグズの程度が軽くなる、期間が短くなる
  • ぐっすり眠る時間が長くなる
  • 病気にかかりづらい
  • 成長後、学校の成績が良い

 

とはいえ、同じ子で両方の結果を比較することはできませんし、個人差はもちろんあると思いますが、知っておいて損はないかもしれません。

 

「メンタルリープ」のまとめ


何をしてもグズグズが止まらない、よく泣くようになった、まとわりついて離れない…そんな赤ちゃんや子どもの状態も、「今は神経系が変化して、精神が不安定になっているから」と分かっていれば長い目で見られますし、むしろ応援したくなりますよね。

 

なお、今回紹介した「メンタルリープ」についての情報は、提唱している団体からの情報によるものであり、日本での臨床結果などのデータに基づいたものではありません。また、赤ちゃんが体調不良や何らかのストレスが原因で食欲が落ちたりぐずったりしている可能性も当然ありますので、「いつもと違う」と感じたら、まずは医療機関の受診を優先して下さい。

 

文/高谷みえこ

参考:書籍『メンタルリープの本:ワンダーウィーク(旧:ワンダーウィークス)〜0歳児の8つのぐずり期を最大限に和らげて発達を促してあげる方法とは〜 』F. プローイュ博士 (著), 石川卓磨 (著), H.ヴァン・デ・リート博士 (著)

AppStore『メンタルリープのアプリ:ワンダーウィーク』

The Wonder Weeks 公式サイト