公園でお座りして遊ぶ赤ちゃん

赤ちゃんは、生まれてから1歳頃までにさまざまなことができるようになります。

 

寝返り、ハイハイなどと並んで、お座り(おすわり)もその1つ。

 

ただ、いつごろお座りができるようになるかは個人差が大きく、周りの子が次々にお座りしているのを見て心配になってしまうママもいるかもしれません。

 

そこで今回は、赤ちゃんは何か月頃からお座りができるようになるのか、お座りの練習はするべきなのか、なかなかお座りをしない・できない時はどうしたらいいのか…などの疑問について考えていきます。

目次

赤ちゃんがお座りできる時期はいつ?


母子手帳の「保護者の記録」には【6~7か月頃】のページに「ひとりすわりをしたのはいつですか。 (「ひとりすわり」とは、支えなくてもすわれることをいいます。)」という質問回答欄があります。

 

ただし、これは、「6~7か月頃にはお座りができるようになっていなければいけない」という意味ではないそう。

 

筆者の住んでいた自治体では、10か月時に集団検診があるのですが、その時の保健師さんの説明では、

 

「7か月頃には約75%の赤ちゃんがお座りできるようになっていますが、とても個人差が大きいので、検診時にゆっくりでも発達が見られれば心配することはないですよ」

 

とのことでした。

 

赤ちゃんがお座りしない、できない理由


寝返りやハイハイ・つかまり立ちなど、赤ちゃんが歩き始めるまでの身体の発達は、時期も順番もほんとうに個人差が大きく、ハイハイが先の子もいればお座りからすぐつかまり立ちに移行する子も。

 

その中で、なかなかお座りしない・できないのには、どんな理由があるのでしょうか?

 

実は、赤ちゃんが安定してお座りできるようになるには、足腰だけでなくいろいろな部分が関係しているそうなんです。

 

まず、首や背中の筋肉がじゅうぶん発達していること。

 

手でおもちゃや自分の足をつかんで口にもっていき、なめたりかんだりしているのは、これらの筋肉がしっかり発達し、手を自由に使えるようになったことの現れといわれています。

 

母子手帳にも、「ひとりすわり」の質問に続き「からだのそばにあるおもちゃに手をのばしてつかみますか。」という項目があることからも、お座りと手の運動との関連性がうかがえます。

 

そしてもうひとつ重要なのが、視力の発達です。

 

赤ちゃんの視力は、生後すぐはぼんやりと人や物の形が分かる程度だったのが、成長に伴いくっきりと見えるようになり、奥行きや距離感がつかめるようになります。

 

ちょうど同じころ、うつぶせになって顔を上げたり、首が座って縦抱きされたりすることで、今までと違った角度で風景が見え、赤ちゃんの世界がぐっと広がります。

 

また、ママの姿を目で追うことから始まり、しだいに首を動かしたり、寝返りして追いかけようとしたりもします。

 

その延長上に、もっと高い位置から周りを見たい、物を手に取りたい、ママの姿を探したい…という欲求が生まれ、赤ちゃんのお座りを後押しするといわれています。

 

まだお座りができない赤ちゃんを、「腰が座っていない」と表現することがありますが、実際は腰だけではなく首・背中・手・目など、さまざまな発達が1人1人違うからだったのですね。

 

身体的な発達以外では、次のようなこともお座りできない理由と考えられています。

 

  • おっとりした性格で、あまりお座りに興味がない
  • 新しいことに慎重なタイプで、慣れない姿勢や視点が不安
  • 過去、お座りの姿勢から転ぶなど怖い目にあった
  • おむつが濡れたり膨らんでいて気持ち悪い

 

また、体重が大きめな赤ちゃんは小柄な赤ちゃんより時期がやや遅い傾向があり、ハイハイはできているのにお座りができない場合、活発な性格でじっとしているのが嫌いという可能性もあるようです。

 

なお、上記のことを考えても心配という場合、総合病院の小児科や専門医を受診する選択肢もあります。

 

受診しても、もう少し年齢が上がらないと診断が難しいと言われることも多いようですが、もし異常が見つかれば早めに対策することができますね。

 

受診時は、ふだんの様子をスマホなどで動画に残しておくと、より正確な診断に役立ちます。

 

初めてお座りできた赤ちゃん

 

赤ちゃんにお座りの練習は必要?


なかなかお座りができない子に対し、親が手を貸して練習させることは必要なのでしょうか?

 

月齢に関わらず体の準備ができていなければ、できるようにならないどころか、体に負担をかけ、赤ちゃんがお座りを嫌いになってしまうのでNGです。

寝返りがまだできないうちや、座らせても体を丸めて前に倒れてしまうという場合はまだ早いサインだといわれています。

 

反対に、支えて座らせればしばらく手をついていられるけど、手を放すとコロンと倒れてしまう子や、座ってはいられるものの自分から起き上がって座ろうとしない子には、少し手伝ってあげると上達することもあるようです。

 

練習といってもハードなことをする必要はなく、ママの膝の間に赤ちゃんを座らせて手遊びしたり、ちょうどお座りの姿勢から手の届くところにお気に入りのおもちゃやグッズを置いてみたり、遊びに取り入れることからでOK。

 

また、あえて同じ年頃の子が集まる場所に連れて行き、他の子がハイハイやお座りやしているのを見せると刺激を受けて、お座りがじょうずになる子もいるそうです。

 

お座り時期の赤ちゃんにおすすめの椅子やクッション


お座りし始めたばかりの赤ちゃんは、まだ関節や筋肉が発達の途中なので、すぐにバランスを崩してしまいます。

座った姿勢から転んでも脳に影響を与えるほどの衝撃にはならないと考えられていますが、びっくりして泣き出したり、たまたま固いおもちゃが転がっていたりすると心配ですよね。

 

かといって、お座りの楽しさが分かってきた赤ちゃんをずっと寝かしておくと不機嫌になって泣き出してしまうことも。

 

先輩ママに聞いたところ、次のような椅子やクッションを活用していたというアドバイスがありました。

 

「授乳時に使っていたU字型の授乳クッションは便利でしたよ!うちの子は、前は手をつくことができるのですが、後ろにゴロンと倒れてしまうことが多くて。開口部を体の前側に持ってきて使っていました」(Eさん・26歳・1歳の男の子のママ)

 

「本格的にお座りできたのは6か月以降でしたが、5か月過ぎからバウンサーの角度を少し起こしてお座りに近い状態にしてあげると、料理中や脱衣所でも私の姿がよく見えて安心するようでした。一気に座らせるより、少しずつ起こしていくと子どもに負担が少なく済みそう」(Kさん・29歳・1か月の男の子のママ)

 

「下の子はのんびりタイプで9か月過ぎてもなかなかお座りしようとしなかったんです。ワンオペで子ども二人をお風呂に入れていたので、私がシャンプーする間などは、バスチェアに座らせて入浴していました。機嫌よく座っていたので、昼間も練習がてら時々リビングで座らせて遊んだりしていましたよ」(Oさん・30歳・1歳の女の子のママ)

 

まとめ


お座りやつかまり立ちなどは、早くても遅くても色々心配になってしまいますが、体の準備さえ整えば短期間でマスターできる子がほとんど。

 

「心配したけど、ふと気付けばできていました」というママの声がとても多かったのが印象的でした。

 

なお、今回の記事は母子手帳や医療機関が公開しているデータに基づき執筆していますが、個々のケースについての判断を保証するものではありません。心配な点がある場合は早めに医療機関や支援窓口に相談することをおすすめします。

 

文/高谷みえこ

参考:厚生労働省「母子健康手帳 省令様式」P24