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家計管理、きちんとしていますか?夫婦でお財布を1つにしてしっかり管理しているという家庭もあれば、お財布は別々でまったく管理していないという家庭もあるでしょう。将来、まとまった金額が必要になった時に困らないためにも、節約しながら計画的に貯金していきたいものです。 今回は、お金のプロであるファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、ラクして節約する方法や、貯金するための仕組み作り、さらに気になる増税対策について伺いました。 全5回に渡ってお届けする特集の1回目は、「最低限するべき家計管理とその方法」についてです!

まずはお互いの貯蓄額について把握しましょう


家計管理において最も大事なことは、貯蓄額の把握です。「たとえ夫婦で財布を分けて家計管理や貯蓄をしている場合でも、お互いの貯蓄額は必ず共有しておくべきです」と風呂内さん。 「相手のことをしっかり者だと思っていたのに、いざお金が必要になった時に貯金がほとんどなかったということはよく聞く話です。逆に、すごくしっかり貯めているのに、生命保険などをかけすぎていてもったいない、ということもあります。家計として合理的な選択をするためにもお互いの貯蓄額を把握しましょう。とはいっても、1円単位まで細かく共有する必要はありません」

家計管理が苦手な人は3カ月に1回、資産額だけをチェック!


家計を正確に把握することは大切ですが、「頑張って家計簿をつけていたが途中で挫折した」という人は少なくありません。 なぜ、挫折してしまうのでしょう。それは、日々の支出を管理するのが大変だからです。特に手書き家計簿の場合はレシートやクレジットカードの明細を毎回確認して記入するのは、よほど性格的に向いている人でなければ続かなくて当たり前。お金の管理が苦手な人なら、なおさらつらいものがあります。 そんな人におすすめなのは、四半期に1度、貯蓄額だけを管理する方法です。つまり、細かい支出は一旦置いておいて、家計として今いくらあるのか、増えているのか、減っているのかという貯蓄額だけを3カ月ごとに確認するのです。 「3カ月前と比較し、貯金や株式投資などの総額が増えていたら概ねよしとします。3カ月ごとに管理をすると、たとえイベントごとなどで大きな支出があったとしても、毎月の貯金やボーナスなどである程度リカバリーできるので、軌道修正しやすいと思います。ただ、ボーナスは会社の業績次第で大きく変動するものですし、ローンの返済など予め使いみちが決まっている場合もあります。さらに年俸制でそもそもボーナスが支給されないという人もいるでしょう。そういったことも考慮して、先々まとまった支出がありそうな場合は、その費用をどこから捻出するか、早めに夫婦で相談しましょう」

おすすめの家計管理法はスマホアプリでの“見える化”


家計管理には、手書きの家計簿よりもずっと手軽なスマホの家計簿アプリがおすすめです。いつでもどこでも簡単に入力、確認できるだけでなく、次のような便利な機能がついているアプリもあります。

■家計簿アプリの便利な機能

・預金口座やクレジットカードと連携して自動記録ができる ・ポイントカードと連携して、ポイント残高や有効期限などを自動記録できる ・夫婦別々の口座情報を共有でき、お互いの支出や資産を把握できる

■おすすめの家計簿アプリと特徴

・Zaim…日本最大級の家計簿アプリ。レシートを撮影して品目・金額を自動入力できる。銀行、クレジットカードと連携して自動で出入金データを入力できる。 ・Moneytree…銀行、クレジットカード、電子マネー、証券口座などと登録しておけば、1つの画面で収支を管理できる。マイルやポイントカードにも対応しており、ポイントの有効期限も把握できる。 ・家計簿マネーフォワードME…銀行、クレジットカード、電子マネーなどを登録しておけば、1つの画面でまとめて資産を確認できる。お金の流れを自動でグラフ化してくれる。投資のポートフォリオなど、高度な分析も可能。

 

アプリは、銀行口座の残高やクレジットカードの利用明細などのデータ連携に抵抗がない人におすすめです。自分で入力しなくてもいいので手間が省け、入力ミスや計算ミスも防げます。各アプリのセキュリティに対する考え方やお金の使い方に合わせて自分に合ったものを選びましょう。

実は、貯金は夫婦別々の口座で管理する方が安全!?


家計管理のため、夫婦共有の口座を作るという人も多いと思います。ただ、手続き上はどちらかの名義になるため、例えばその名義人が亡くなってしまった場合は口座が一時凍結されて、配偶者であっても引き出せなくなる可能性があるなど、問題が生じることがあります。 そこで、風呂内さんは、「家計用の口座であっても夫婦で分けて管理し、いつでもお互いの支出入を見えるようにするのがおすすめ」といいます。お互いに見える状態にしておくことで、相手が使いすぎていないかなどという不安も払拭され、また余剰分が溜まっていく喜びも共有できます。 「すべての支出を相手に把握されるのはちょっと…」という場合は、生活費の口座を夫・妻それぞれが作り、その口座をお互いが見えるようにする、個人的な預貯金や支出は別口座にしておくという方法もあります。この場合は、次のように管理していきます。

■プライバシーは守りつつ、夫婦別々の口座で家計の支出を管理する方法

① お互いの収入を把握し、比率を算出する。例:夫600万円、妻400万円の場合は6:4 ② 毎月何にいくら使うかをリストアップし、費目ごとに月の予算を決める。その際、可能であれば、それぞれの費目について少し余裕を持った額に設定する。 ③ 夫の口座から支出する費目と、妻の口座から支出する費目を6:4になるように決める。例:夫は住居費・光熱費・保険・通信費など、妻は食費・日用品・子どもの習い事の月謝など。 ④ 夫の生活費用口座:妻の生活費用口座に6:4の割合で入金する。 ⑤ それぞれ家計簿アプリと連携して見える化し、お互いの支出を確認する。残金は貯蓄に回す。 なお、④で必要な生活費を入金して残った分はそれぞれの口座で管理します。そこから別口座にいくら貯蓄するのか、お小遣いにするのかなどは夫婦で相談して決めましょう。

 

次回は、ラクして貯蓄するための仕組みづくりについてお伝えします。

 

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PROFILE 風呂内亜矢(ふろうち あや)


1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会委員、一般社団法人みんなで作る良い行政サービス協会 主任研究員。大手電機メーカー系SIer、マンションの販売会社勤務を経て2013年にファイナンシャルプランナーとして独立。現在、テレビやラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。著書に『その節約はキケンです—お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか—(祥伝社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』などがある。

 

文/田川志乃 イラスト/加藤淳一