7.有給休暇の買取について
「会社が有給休暇の買取をできるのか?」と疑問に思う方がたくさんおられます。 有給休暇は「労働者に実際に休暇を与えないと意味がないもの」ですので、会社が買い取ることは認められません。法律によって与えられる最低限の日数の有給買取は労働基準法違反です。 ただし以下のようなケースでは例外的に買取が認められます。
- 法定の日数以上に有給を与えている場合
- 時効にかかった有給休暇を買い取る場合
- 退職までに有給を消化できなかった場合
上記の場合、買取を認めても労働者に不利益がなく法の趣旨にも反しないためです。 買取金額については決まった計算方法がなく、会社によって異なります。1日あたり3000~5000円程度とされたり1日分の平均賃金を算出したりして決定されています。
8.有給休暇の時効について
有給休暇は2年で時効にかかります。そこで発生した時点から2年が経過した時点でその有給休暇は利用できなくなります。有給は毎年発生するので、消化しないと1年が過ぎるごとにどんどん発生と消滅を繰り返していくことになります。
10.年5日以上の有給付与の義務化について
日本では、諸外国と比べても有給の取得率が低いと言われています。あなたの会社でも、何となく申請しにくい状況があるかもしれません。 そこで法改正が行われ、2019年4月1日からは、会社が労働者に年5日の有給を付与することが「義務化」されます。つまり労働者が有給休暇を年5日以上取得しないと、企業側が法律違反となってしまうのです。これからは、今よりさらに自由に有休を取得しやすくなるでしょう。
11.祝日が出勤日となっている場合の有給休暇
そもそも祝日に出勤させること自体は違法ではありませんし、当初から祝日出勤を予定している会社であれば休日出勤にも該当しません。世間では祝日でも通常の出勤日です。 ただ、従業員は祝日に「有給休暇」を取得することが可能です。他の従業員が同じ日に有給を希望して申請が殺到し、著しい業務への支障が発生する場合には時季変更を申し出られる可能性がありますが、有給の申請取得自体は自由です。
まとめ
有給取得は労働者の権利であり有給付与は会社の義務です。社内のしがらみに囚われず、労働者が遠慮なく申請取得できる社会が実現されるのが望ましいと言えます。 今後は年5日以上の有給取得義務化なども実施されるので、どんどん有給を自由に取得できる社会へと変わっていくでしょう。あなたも遠慮なく会社へ有給の申請をしてみて下さい。
文/福谷陽子