子ども同士のケンカは、できれば本人たちだけで“仲直り”してもらいたいですよね。しかし親としては、「ちゃんと謝れているかな…」「これまでの関係に戻れるんだろうか」など色々と気にかかるもの。“謝ること”は子どもにどうやって教えるといいのでしょうか。
「謝ってるから許してあげなさい」は正しい?
ある女性には、小学2年生になる息子がいます。息子は日頃から大人しい性格で、クラスメイトからしばしば“いじわる”をされるそう。
多くの場合、担任の先生は息子に対して「○○君も謝っているんだから、許してあげなさい」と言葉をかけますが、彼女はこの言葉に納得がいきません。「『謝ってるから許す』という教えは、本当に良くないと思う」「許す許さないかは、本人にしか決められない」と怒りが収まらない様子です。
彼女の意見に対しては、賛否の声が続出することに。まず賛成派からは「わかる。この教えだと、『謝ったのに許してくれなかった』っていう思考が生まれかねない」「謝るというのは『ごめんなさい』で終わりではなく、『これから反省していることを証明していきます』という始まりなはず」といった声が上がっています。
一方反対派からは、「でも謝罪を受け止めなかったら永遠に仲直りはなくない?」「ずっと相手に憎しみを持たせることって、いい教育とは思えない」「子どものケンカなんて、謝ったら終わりでいいじゃん」などの見解が相次ぐことに。
「ごめん」の強要など、謝ることの難しさ…
ネット上では、各自の考える“教育論”にまで話が及んでいます。ある男性からは、「謝るという行為にはあまり意味はない。謝るに至る“過程”や“意味”をちゃんと教えないと、教育にはなりません」といった見解が登場。また別の女性は、「許すことを強要するのではなく、あくまで“促す”という教育が必要なんじゃないかな」とコメントしています。
他には“学生時代のベテラン教師の対応が忘れられない”と語る男性もいて、「その先生は『“ごめんね”と言われたら“仕方ない”と返しなさい』って教えてた。これくらい“決めごと”にした方が物事はスッキリするのかもね…」と発言。
続々と集まる声の中には、同じような悩みを“旦那に対して持つ”という主婦の姿もありました。「旦那は、『俺は“ごめん”って謝ったのに、なんでお前も謝らないの?』って言い続ける。いや、『ごめん』って言われても私は許すって言ってないし…」とケンカのたびに思うそう。“謝る”ことの難しさは、大人になっても変わらないのかもしれません。
尾木ママが指南する、子どものケンカ“3段階の介入方法”
子ども同士のケンカでも、どうしても親が間に入らざるを得ないケースもありますよね。以前放送された『ウワサの保護者会』(NHK)では、「子どものケンカ そのとき親は?」と題した特集を放送。教育評論家の尾木直樹さんが出演し、親としての“取るべきふるまい”について解説してくれました。
番組に登場した母親たちは、「子どものケンカ、いったいどうすればいいの?」という問いに回答。結果は「介入すべき」が3人、「見守るべき」が3人と意見は真っ二つに分かれました。
尾木ママは「どちらが正しいとか、そういう問題ではない」としながらも、子どもの成長段階に合わせた“3段階の介入方法”を提示。
・幼児期:状況を整理してあげて、自分の感情を理解させる
・児童機:共感してあげて、ケンカが起きた理由を一緒に考える
・思春期:自分たちで解決できるようサポートする
子どもの年齢が上がるにつれ、徐々に介入の度合いを下げていくのがポイントだそうです。
また、尾木ママは「子どものケンカにうまく向き合うには、まず親同士が信頼関係を築くことが大切」とコメント。他にも「よその家の子どもでも態度を変えない」「相手の子どもを褒める“ほメール”を送る」といったコツを紹介していました。
親としては、適度な距離感を保ちながら子どもの自立を促していきたいですね。
文/長谷部ひとみ