education201901

ワンオペ育児で誰にも頼れないママにとって、子どもを連れて行けない用ができたときや産前産後・体調不良のときなどに、一時的に祖父母に子どもを預かってもらえる環境の人をうらやましく感じるかもしれません。 しかし、ママと祖父母側の意思疎通がしっかりできていて快く預かってもらえる場合はともかく、最近ではケガやアレルギーなどの思わぬトラブルも明らかになってきています。祖父母側からも「正直負担が大きい」との声も増えていて「孫疲れ」「孫ブルー」などの言葉も生まれているほど…。 また、預かってもらう際、こと細かに注文をつけるのはいかがなものかと思う一方、「預かってあげる」と言うものの安全管理面に疑問がある祖父母だった場合、どこまで言っていいものか…。 今回はそんな疑問について考えてみます。

祖父母に子どもを預かってもらった時のトラブル事件簿


こちらからお願いした場合、向こうから「連れておいで」と言われた場合、どちらも「祖父母のとんでもない子どもの扱いにビックリ!」というママの体験談は数えきれません。

 

「車で買い物に連れていってくれたそうですが、途中、急ブレーキで子どもが座席か転げ落ちて頭をぶつけたそうです。もちろん、預ける時にチャイルドシートは持参したのですが、すぐそこだから、使わなくても大丈夫だよね~と取り付けなかったらしく…」(Dさん・29歳・当時2歳のママ)

 

「夫の会社の人の結婚式に出席することになり、夫が義父母に子どもをお願いしようと提案。今まで子どもだけで預けたことがなかったので心配でしたが、会場が近いので祖父母に家に来てもらい、3~4時間預かってもらいました。それはありがたいのですが、帰ってみると、ミルクを3回くらいあげたみたいで。よく泣くから足りないのかと思ったそうです。いくら自分たちが赤ちゃんを育てた頃から年数がたっていても、それはあげすぎだと分かると思うのですが…。私も説明したし、ミルク缶にも書いてあるのに…」(Gさん・34歳・当時0歳5か月のママ)

 

「当時1歳の娘、手を離すとどこまでも歩いていってしまうから、外には連れて行っていただかなくていいですとお願いしたにも関わらず、お散歩に行っちゃったんですね。しかも、手を離してしまったので、道路の側溝に落ちてケガをしてしまいました。でも、迎えに行ったときはそれを言わず、家の中で転んだみたいよ~と隠したのにも腹が立ちます」(Uさん・33歳)

ネットでは「孫疲れ」「孫ブルー」の声も


いっぽう、しっかり気をつけて孫の面倒を見てくれている祖父母からも、「正直、毎回孫だけを預かるのは体がもたない」と、「孫疲れ」を訴える声も。

 

祖父母が子どもの頃や、育児していた時代はまだ、家の外で小さな子が遊んでいても近所の子が一緒に遊んでくれたり、知り合いの大人がそれとなく様子を見てくれたりする時代でした。 しかし今は、預かっている間じゅう、家の中の事故、外の交通事故や不審者など、片時も子どもから目が離せない世の中です。 特に、上の子と赤ちゃんを両方預かった場合、体力の落ちてきた祖父母の負担は想像するに余りあります。

 

預かってもらえるからといって頻繁に預けすぎていないか、本当に親同伴でなく孫だけを預けないといけないのか…「悪いけどもう預かれない」と言われる前に、見直しておきたいですね。

祖父母に子どもを預ける時に気を付けることは?


できるだけ子どもにも祖父母にもストレスなく預かってもらうためには、あらかじめ子どもの好きな遊びや食べ物・おもちゃなど、預かってもらう時に情報を伝えておきたいですよね。 ただ、本当に危険なこと以外であまりにも細かく指定したり、その通りにならなかった時に苦情を言ったりするのは考えもの。

 

「兄のお嫁さんが2人目を妊娠し、実家が近いのでときどき1歳の上の子を母に預かってもらっているそうです。ただ、やっぱり眠くなると、おもちゃも抱っこも泣き止まず、ママでなきゃダメ…ということがあり、仕方ないのでお菓子をあげると、お嫁さんに後から怒られるそう。お菓子をあげないでひたすらあやしていたら、泣きすぎて吐いたことがあり、その時もかなりきつく言われたそうで…母もやりにくいとこぼしています」(Hさん・31歳)

 

アレルギーのある食品などはしっかり伝えることが必要ですが、時々しか預かってもらうことのない実家で、いつもと少し違う生活をするのは子どもにとってよい経験になりますし、祖父母への注文は最低限にしておきたいですね。

 

もし、どうしても預かってもらう必要があり、さらに「マイルール」をしっかり守ってほしい…という場合、それに見合った報酬をきちんと渡す、という方法も。

 

「夫も私もシフト制の仕事のため、年に何度か日曜日に子どもが一人になる日があり、近くに住む私の母に来てもらいます。でも、やっぱり日頃虫歯を気にしておやつも時間を決めているし、ジュースやアイスもできれば与えてほしくありません。母に無償でそれを実行してもらうのが大変なのは十分わかるので、地元のシッターさんと同額程度のお金を渡しています」(Oさん・32歳・2歳のママ)

祖父母へのお礼はどうしてる?


上記のように、完全に「マイルール」を守ってもらうことを前提にプロと同等の報酬を渡す場合はともかく、そうでない場合、みんなはお礼は何かしているのでしょうか?

 

インターネット上のアンケートでは、実家・義実家ともに「迎えに行ったときに果物やお菓子などを渡す」という人がトップでした。 

 

ママの実家で、双方慣れていて気心が知れている場合「毎回はお礼はしない」という人も。 月に何度も預かってもらうような場合は、まとめてお礼の意味で「月に1回程度食事に誘う」「食費としてお金を渡す」という人や、「父の日母の日、誕生日などに旅行や外食をプレゼントする」という人もいました。

 

モノやお金だけでなく、迎えに行った時のお礼の言葉にも気を配りたいもの。  「面倒をみてくれて当たり前」という気持ちがベースにあると、お礼のことばにもつい出てしまいます。

 

ケガやトラブルなく過ごさせてくれたことがどれほど大変で、年齢を重ねた体でやり遂げてくれたのがどれほどありがたいか…という意識を持ってお礼を言うと良いですね。

お互いの立場を考えながらベストなバランスを見つけて


預かってもらう娘・嫁の立場、預かる祖父母の立場から見てみると、それぞれに苦労や不満もあることがわかりました。  しかし、最初は大変ですが、お互い相手の立場を考えつつ、ママもモヤモヤせず祖父母も負担になりすぎないようなバランスを見つけていくのがベストではないでしょうか。

 

文/高谷みえこ