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育児と仕事、両立したい。ママでも、キャリアアップを目指したい。……と、「転職」を考えるママは意外と多いのです。

そこで、これから転職活動をするママに向けて、ママだからこそおさえておきたい「転職マナー」をおさらい。

大学時代に第一子を出産し、新卒の際は既にママ。その後三人の子どもを育てながら、転職。現在では四人のママとして、プロジェクト型の新しい働き方で企業と個人をマッチングする「CARRY ME」の役員を担当。実体験をもとに、女性のキャリア・働き方についてノウハウを発信し続けているFlexible Career代表 の毛利優子さんに話を伺いました。

第一回目は、「履歴書を書く」際のマナーについてです。

「志望動機」「本人希望欄」は内容のコピペをするくらいなら、欄ごと削除するほうがいい

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履歴書で真っ先にペンを持つ手が思わず止まるのが、「志望動機」の欄。ここにより、第一関門を突破できるかできないかが決まるのでは、と気負う人も多いのではないでしょうか。とはいえ、何社も受ける場合、一つずつこの欄を埋めるのも結構気合いがいるものです…。

 

「よくありがちなのが、何社も受ける場合に効率化をはかるべくコピペで使える内容にしようと思うばかりに、どこの会社にも通用するような表現で欄をとりあえず埋めるということ。でも、これは企業にとってはマイナスに映ります。あたりさわりない表現で欄を埋めるぐらいなら、書かないほうがいいくらいです。だからといって、空欄にしておくのはやるきを感じられないため、NG。その場合は、欄自体を消すのも一つの方法です」

 

市販の履歴書では項目の削除が難しいので、web上にある履歴書のフォーマットをダウンロードしてデータ上、欄ごと削除してしまえばいい、というワケ。

 

「中途の採用では、志望動機よりも職務経歴書が重視されている場合が多いので、志望動機が書類にないことが審査の重要な判断基準にはならないことが多いです。もちろん、妥当な志望動機がわかりやすい言葉できちんと書けるのならば、ぜひ記入してくださいね」

 

これと同じことが「本人希望記入欄」にも言えるそう。 「本人希望記入欄に子どもがいることを書こうとする人も多いですが、それは面接で伝える形でも十分。履歴書でハードルを上げすぎると面接への機会を失う場合があります。特に書くことがない場合は、こちらも欄ごと削除しても構いません」

 

「趣味・特技」はうまく活用を

もう一つ、悩ましいのが「趣味・特技」の欄。こちらも削除してしまうべきですか? 「面接に進んだ場合に、意外に話がはずむキッカケになりやすいのが、実はこの欄。希望する職種に直結するような趣味や特技であればもちろん、そうでなくとも、面接する社員が同じ趣味や特技を持つ可能性もあり得ます。職務経歴書には書きにくい内容でもあるので、履歴書のこの欄をうまく活用してください」

 

ただし、注意点がひとつ。 「企業のマイナスを連想させるような内容は、書き方に気をつけるべし。例えば、お酒が好きな場合は“お酒が好き”と書くよりも、“ワインを勉強しています”などと書いたほうが趣きを感じさせ、話が広がるネタを提供する見え方に変わります」

 

「週末に作り置きして、平日は30分で夕飯を用意できるようにするなど、栄養バランスに加えて、効率化を意識しています」 など、主婦業の技術をここで披露するのも一つの手なのだとか!

 

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履歴書では子どものことを全面に押し出さない

子どものことは、履歴書にどこまで書くべきですか?

 

「“子どもがいる”と文字で書いてしまうと、“条件に制限がある”と感じさせてしまいがち。実際に顔を合わせて言葉で説明したほうが、実態に合わせた具体的な提案ができます」

 

履歴書は、面接に進むための第一歩。まずは面接に進むためには履歴書には必要以上に子どものことをかかなくてもよいのだとか。

 

「ただし、規定の時間にフルで出社できない場合や勤務時間などそれが実現しないと就労が不可能な場合は、転職活動に効率化をもたせるために書いておいたほうがいいです。“子どもがいるため、勤務時間についてご相談したいです”などと、さらりと触れておくとよいでしょう」

 

また、履歴書にある「扶養欄」は、社会保険の負担があるかを会社側が確認するための欄。子どもがパパの扶養に入っている場合は、書き方に注意が必要です。

 

「もしここに子どもの人数を書くなら、“扶養家族数 0人 ※子ども2人 (主人の扶養)”などの表現がオススメですよ」

 

履歴書よりも職務経歴書を重視して

企業が重視しているのは、履歴書よりも職務経歴書なのだそう。

 

「履歴書は、その人の事実の事がらが書いてあるものなので、信用の担保として一通り目を通すくらいで企業側はそこまでチェックはしないと思います。それよりも、書類として次のステップに行くか行かないかを決定づけるのは『職務経歴書』です」

 

書類には、職務経歴書を必ず別添付しましょう。

 

「職務経歴書には、いままでの入社退社の経歴の事実や業務の羅列だけでなく、“そこでどのような実績をあげたか”ということを細かく、分かりやすく書きましょう」

 

分かりやすいのは、箇条書きで業務内容をかき、最後に実績を分かりやすくまとめる方法。 「営業であれば、“前年度比何パーセントアップした”とか“何件の契約をとった”など、数字で表せると、より評価がされやすいです。事務職などで、普段の業務を数値化しにくいという場合でも、 “平均●時間かかっていた請求書の作成業務を●時間にした”や“営業資料を月●本作成した” など、日頃の業務を自分で数値化するといいでしょう。また、第三者からの評価を書くのも有効です。 例えば、“上司やチームメンバーから、●●さんの●●の取り組みが部署全体の効率化に繋がったと評価いただいた”や “お客様から●●という評価をいただき、嬉しかった”などです」

 

逆にNGは、主観的な内容。 「精一杯取り組みました」「頑張りました」はあくまでも個人の考えで誰でも言えるので、避けましょう。

 

書類を書くときは、「相手に分かりやすいように、完結に。そのうえで希望職種の経験など、企業が欲しいと思われる情報を目立つように盛り込む」のがコツだそうです。

 

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監修者PROFILE 毛利優子さん


女性のキャリア・働き方の専門家、Flexible Career(フレキシブルキャリア)代表、兼 プロジェクト型の働き方で企業と個人をマッチングする『CARRY ME』のCMO(最高マーケティング責任者)。大学在学中に長男を出産。大学卒業後、新卒でありママであるという状態で就職したという経験を持つ。その後、20代後半で子どもが3人いるという状態で監査法人の事務職から完全未経験のWebサイトの企画・ライター職種に転職。それらの経験を生かし、仕事をしながら子育てをする女性を応援するためのノウハウをまとめたWebサイト『働くママプラス』を企画・リリース。月間10万PV以上、収益化を実現し、MVPを受賞する。現在では、4人の子育てと仕事を並行しながら、「時間」ではなく「成果」で評価される新しい採用・働き方を広めるために奮闘中。著書に『働きたいママの就活マニュアル』(自由国民社)、『これで解決。働くママが必ず悩む36のこと』(日本実業出版社)がある。

 

取材・文/松崎愛香 イラスト/村林タカノブ